「産業廃棄物」と「一般廃棄物」はよく耳にする言葉ですが、それぞれの違いを正確に理解している方は多くありません。
環境保護や法令遵守の観点からも、正しく廃棄物処理を理解することが重要です。
この記事では、産業廃棄物と一般廃棄物の違いを明確にし、具体的な例を交えて分かりやすく解説します。
廃棄物処理の正しい知識を身につけたい方や、廃棄物の管理をより適切に行いたいと考えている方は、読み進めてください。
産業廃棄物と一般廃棄物の概要
廃棄物には、産業廃棄物と一般廃棄物の2つの主要なカテゴリがあります。
これらは、法律に基づいて明確に定義されており、適切な処理が重要です。
ここでは、以下2つの特徴を説明します。
・産業廃棄物とは
・一般廃棄物とは
それぞれ見ていきましょう。
産業廃棄物とは
事業活動に伴って排出される特定の廃棄物を指します。
具体的には、製造業や建設業などの産業活動から生じる廃棄物が含まれますが、オフィスや商店での活動からも発生します。
法律で定められた20種類の廃棄物がこれに該当し、適切に管理されなければなりません。
産業廃棄物処理は企業や事業所にとって重要な環境管理の一環であり、影響を最小限に抑えるための配慮が求められます。
一般廃棄物とは
おもに家庭から排出される廃棄物を指しますが、事業活動からの廃棄物のうち産業廃棄物に該当しないもの(事業系一般廃棄物)も含まれます。
これらのほとんどが、家庭や事業所の日常生活から発生するごみです。
地方自治体が管理責任を負い、地域ごとに異なる分別方法や処理方法が存在します。
一般廃棄物の正確な分類と処理は、地域社会の清潔さと環境保護に直接関わるため、注意が必要です。
産業廃棄物と一般廃棄物の5つの違い
産業廃棄物と一般廃棄物は、それぞれ異なる取り扱いが必要です。
これらは法律で定められた基準に基づき、処理方法や管理体制が異なります。
ここでは、5つの違いを解説します。
・処理できる地域の範囲
・管轄する行政区分
・処理に必要な許可
・保管基準
・排出から処分までの管理
これらを理解し、廃棄物管理の知識を高めましょう。
処理できる地域の範囲
産業廃棄物は広域での処理が可能で、都道府県を超えて適切な施設で処理されます。
たとえば、東京都で発生した産業廃棄物が、千葉県の施設で処理されることも一般的です。
産業活動の規模や廃棄物の種類に応じて効率よく対応するために、広域処理を採用しています。
一方、一般廃棄物は市町村内での処理が基本で、地域のクリーンセンターやごみ処理施設で行われます。
地域限定の理由は、地域の環境負荷を抑え効率的な処理を実現するためです。
管轄する行政区分
産業廃棄物は都道府県や政令指定都市が管轄し、広域的な管理が行われます。
たとえば、東京都が管轄する場合、都内の産業廃棄物処理に関する許可や規制が適用されることが一般的です。
一方、一般廃棄物は市町村が担当し、地域ごとに異なる基準や条例が設けられています。
たとえば、横浜市では市独自のごみ分別ルールがあり、それに従って処理することが可能です。
この違いにより、事業者は廃棄物の種類に応じて、適切な行政機関への届出や許可申請を行うことが必要です。
処理に必要な許可
産業廃棄物処理には、収集・運搬・処分の各段階で都道府県や政令指定都市からの許可が必要です。
たとえば、建設現場で発生する産業廃棄物を処理する場合、処理施設の許可を確認し、適切な運搬業者を選定します。
また、取り扱う廃棄物の品目ごとに許可を取得することが求められます。
一方、一般廃棄物は市町村からの許可のみで処理され、家庭ごみの収集業者は特定許可を受けて作業可能です。
保管基準
産業廃棄物の保管には、厳密な基準が設定されています。
たとえば、廃棄物が雨水で流出しないように囲いを設置し、害虫や動物の侵入を防ぐための対策が必要です。
また、掲示板を設置し、産業廃棄物の種類や保管場所を明示することも求められます。
保管量には制限があり、処理施設の1日当たりの処理能力の14倍までが上限です。
一般廃棄物は市町村の条例に従って保管され、具体的な法令基準はありません。
ただし、地域のルールに従うことが必要なため、不明点は各市町村へ問い合わせましょう。
排出から処分までの管理
産業廃棄物は、排出から最終処分までの各工程で情報を管理し、マニフェストを活用して追跡します。
たとえば、製造工場で発生した廃棄物が処分されるまでのプロセスを記録し、適切な処理を確認することが重要です。
これにより、不法投棄を防止し法令に基づいた処理が保証されます。
一般廃棄物にマニフェストの義務がありませんが、契約書を交わして処理業者とのトラブルを防ぐことが一般的です。
廃棄物の量が多い場合は、条例によって特別な管理が求められる場合があるため注意しましょう。
一般廃棄物と産業廃棄物の種類と具体例
ここでは、一般廃棄物と産業廃棄物の種類と具体例を解説します。
一部、特殊な取り扱いのものも含まれるため注意が必要です。
・一般廃棄物
・産業廃棄物
それぞれ参考にしてください。
一般廃棄物
家庭や事業所から排出される廃棄物で、日常生活でもっとも一般的に見られる廃棄物です。
以下の表に、具体例を示しました。
区分 | 種類 | 具体例 |
家庭廃棄物 | 可燃ごみ | 生ごみ(食べ残しや野菜くず)、紙くず(古新聞や雑誌)、衣類(古着や布製品) |
不燃ごみ | ガラス製品(割れた瓶やガラスコップ)、陶磁器(割れた皿やマグカップ)、金属製品(壊れた調理器具) | |
粗大ごみ | 家具(ソファ、ベッド)、大型家電製品(壊れた冷蔵庫、洗濯機) | |
事業系一般廃棄物 | 可燃ごみ | オフィスからの紙くず(コピー用紙や使用済みのメモ帳)、木くず(梱包材や建材の端材) |
粗大ごみ | オフィス家具(壊れたデスクやキャビネット) |
家庭廃棄物は通常、家庭ごみとして定期的に収集され、事業系一般廃棄物は業者による収集や処理が行われます。
参考:目黒区「一般廃棄物とは」
特別管理一般廃棄物
特別管理一般廃棄物は、一般廃棄物の中でも危険性のあるものを指します。
以下の表にまとめました。
種類 | 具体例 |
PCB含有部品 | エアコンのコンデンサー、テレビの旧型部品でPCBが含まれるもの |
ばいじん | 焼却施設で集められたばいじん(ダイオキシン類が含まれる可能性のあるもの) |
ダイオキシン類含有物 | 焼却施設から生じた燃えがらや汚泥でダイオキシン類が基準値を超えるもの |
感染性一般廃棄物 | 医療機関から排出される感染性のある廃棄物(病理廃棄物や感染性廃液) |
特別管理一般廃棄物は適切な処理業者に委託し、法令に従って安全に処理される必要があります。
産業廃棄物
事業活動に伴って発生する廃棄物で、法律で定められた20種類の特定品目に分類されます。
以下の表に、具体例をまとめました。
区分 | 具体例 |
あらゆる事業活動に伴うもの | 燃えがら(焼却炉の残灰)、汚泥(排水処理の泥)、廃油(潤滑油)、廃酸(廃硫酸)、廃プラスチック類(合成樹脂くず)、金属くず(鉄鋼破片)など |
特定の事業活動に伴うもの | 紙くず(建設業)、木くず(木材製造業)、動植物性残さ(食料品製造業)、動物ふん尿(畜産農業)など |
上記の廃棄物は、排出事業者が責任をもち、法律に基づいた適切な管理が必要です。
特別管理産業廃棄物
産業廃棄物の中でもとくに毒性や爆発性の危険があり、厳重な管理と処理が求められます。
以下に具体例をまとめました。
種類 | 具体例 |
廃油 | 引火点が低い揮発油類(ガソリンや軽油)、灯油類(ケロシン) |
廃酸 | pH2.0以下の酸性廃液(廃硫酸、廃塩酸)、腐食性の高い化学薬品の廃液 |
廃アルカリ | pH12.5以上のアルカリ性廃液(廃ソーダ液、金属加工廃液) |
感染症産業廃棄物 | 医療機関で使用された感染性のある注射針、血液が付着したガーゼ |
特定有害産業廃棄物 | PCBを含む廃油(変圧器の廃油)、廃石綿(アスベスト製品の廃材) |
これらの廃棄物は、専門の処理業者による厳密な手続きで対応され、環境と人々の安全を確保するための特別な措置が必要です。
一般廃棄物と産業廃棄物の分類を間違いやすい例
廃棄物の分類は、発生源や性質によって異なるため、判断が難しい場合があります。
以下に、間違いやすい例をまとめました。
例 | 詳細 |
紙くず |
|
廃タイヤ |
|
蛍光灯 |
|
とくに、日常業務や産業活動から生じる廃棄物は、分類を誤ると不適切な処理につながるため注意が必要です。
処理を間違えたときの罰則
廃棄物処理を誤ると、意図せず法令違反となることがあります。
廃棄物の分類は複雑で、正確な区分を理解しないまま処理すると、不法投棄とされ犯罪ともなりかねません。
たとえ悪意がなくても法律は厳格で、産業廃棄物を一般廃棄物として処理したり、その逆を行ったりした場合でも罰則が適用されます。
具体的には、不法投棄に5年以下の懲役や1,000万円以下の罰金が科されることがあります。
これらは併科される場合もあり、処理に関する法律違反は重く罰せられるため注意しましょう。
産業廃棄物と一般廃棄物の違いを理解し、正しく処理しましょう
産業廃棄物と一般廃棄物の違いを理解し適切に処理することで、環境への影響を最小限に抑えられます。
また、処理を間違えた場合、法的に罰せられるリスクがあるため、分類に不安がある方は専門業者への相談がおすすめです。
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