産業廃棄物に使える6つの勘定科目とケース別仕分け例を解説

2025年06月26日

更新日: 2025年06月27日

産業廃棄物の処理費用を、どの勘定科目に計上するのが正しいのか迷う方は多いのではないでしょうか。
建設業や飲食店、オフィスなど業種や状況によって最適な科目が変わり、仕訳を誤ると税務リスクにつながることもあります。

本記事では、経理初心者でも実践しやすい6つの勘定科目とその活用方法を紹介します。正しく仕訳を行えば、経費処理のミスを減らし、余計なトラブルを防げるので、ぜひ自社の経理に取り入れてください。

産業廃棄物処理費用の勘定科目6つ

産業廃棄物処理費用の勘定科目は、企業の判断で選択できます。
どの勘定科目を使うかは、処理の頻度や金額、業種によって異なりますが、一度決めたら継続して使用することが重要です。
税務調査でも、勘定科目の継続性は必ずチェックされるポイントです。

ここでは、以下6つの勘定科目を解説します。

・支払手数料
・外注費
・売上原価
・衛生費
・修繕費
・雑費

これらの勘定科目から、自社の実情にもっとも適したものを選びましょう。

支払手数料

業務上の手続きや、委託にかかる小規模な費用をまとめる勘定科目です。
産業廃棄物を回収業者へ単発で依頼した際の回収費用や、マニフェスト発行手数料などが該当します。
金額が比較的少額の場合や、定期契約ではなく一時的に委託する場合に使うと整理しやすいでしょう。

ただし、継続的・大規模な処理を委託しているなら「外注費」や「売上原価」のほうが実態に合うケースもあります。
また、「衛生費」や「修繕費」と混同しないよう、費用の発生理由を明確にしておくことが大切です。

外注費

自社業務の一部を外部業者へ委託し、その対価を支払う場合に用いられます。
産業廃棄物の処理でも、工事や製造過程の一環として外部に依頼し、費用が継続的・大規模に発生する場合には適しています。

例として、解体工事を一括請負している業者に産廃処理も含めて任せるケースがあげられるでしょう。
単発の小口支出は「支払手数料」、製品原価に直結する継続的処理なら「売上原価」と使い分ける必要があります。
建設業や製造業など、原材料や産廃が定期的に発生する現場では、外注費と売上原価のどちらが実態をよく反映するかを見極めることが重要です。

売上原価

商品やサービスを提供するうえで、直接的にかかったコストをまとめる勘定科目です。
産業廃棄物においても、製造や建設のプロセスに不可欠な処理費用であれば「売上原価」に含めて計上します。
たとえば、工事現場で継続的に発生する廃棄物の処理費などは、工事原価として算入することで実態に合った形でコスト管理が可能となるでしょう。

一方、突発的に発生する少額の廃棄処分は「支払手数料」や「雑費」に振り分けることが適切な場合もあります。
売上原価に含めるかで利益率が変わることもあるため、処理頻度や委託の実態をよく確認することが大切です。

衛生費

清潔・安全を保つための活動にかかった費用を処理する科目です。
飲食店で定期的に行われる廃棄物処理や、オフィスの衛生管理の一環として回収業者に委託するゴミ処分費などが該当します。

とくに食品を扱う事業では、生ごみや食材廃棄が日常的に発生するため、廃棄処理費用を衛生費でまとめておくと帳簿上分かりやすくなるでしょう。
ただし、金額が大きくほかの費用と明確に区別できる場合は「支払手数料」や「雑費」など、別科目のほうが適切な場合もあります。

修繕費

建物や設備を原状回復したり維持したりするために必要な費用を計上する科目です。
産業廃棄物としては、修繕や内装工事などを行った際に発生する廃材や廃棄物の処理費が該当します。
たとえば、オフィスの一部をリフォームした際に生じる廃材を処分する場合、修繕費として仕訳をすることで費用の性質を明確化できるでしょう。

ただし、大規模な工事で資産価値が向上する場合は「資本的支出」とみなされることも。
そのため、経理担当者や専門家と相談しながら判断することが大切です。

雑費

明確な勘定科目に当てはめにくい少額の支出を処理するための、いわば受け皿となる費用科目です。
産業廃棄物処理においては、突発的に発生する小規模な処分費などを一時的にまとめる場合に用いられます。

ただし、金額が大きくなったり、処理が定期的に発生したりするようなら、ほかの科目への振り分けを検討したほうが正確な会計処理に役立ちます。
経理が複数人で担当している場合は、雑費の基準を社内で共有しておくと、記帳のブレやミスを最小限に抑えられるでしょう。

勘定科目を選ぶ際の基本

産業廃棄物処理費の勘定科目を選ぶ際は、処理の頻度や金額の大きさ、事業形態を総合的に判断することが重要です。同じ廃棄物でも、業種や処理頻度によって最適な勘定科目は異なります。

ここでは、勘定科目選択の基本を紹介します。

・頻繁に発生する業種(建設業や製造業)
・不定期・少額の廃棄
・法人・個人別の仕分け方

これらのポイントを押さえることで、自社に最適な勘定科目を選択できるようになります。

頻繁に発生する業種(建設業や製造業)

建設業や製造業など、産業廃棄物が頻繁に発生する業種では、処理費用をどの科目に計上するかが経理の効率やコスト管理に大きく影響します。
たとえば、工事の過程で継続的に廃棄物が発生する場合、工事原価として「売上原価」に含めることで正確な原価計算が可能です。

一方、外部の廃棄処理業者へ業務をまとめて委託する形なら「外注費」に振り分けておくと、支出の内訳が明確になるでしょう。
生産ラインごとに廃棄物が出る場合も同様で、原価とそれ以外の費用を区別することで、どの工程でコストがかかっているのかを把握しやすくなります。

不定期・少額の廃棄

飲食店や小売店、オフィスなどでは、頻繁に廃棄物が出るわけではないものの、定期的に備品や雑貨を処分する場合があります。こうした不定期かつ少額の廃棄は、「支払手数料」や「雑費」で仕訳するケースが多くなるでしょう。

ただし、思ったより高額になる場合や同じ種類の支出が何度も発生するようであれば、別の科目を検討したほうが正確な費用把握に役立ちます。
単純に雑費へまとめすぎるとあとから見直す際に内訳が分かりにくくなるため、社内ルールとして仕訳基準を決めておくことが望ましいです。

法人・個人別の仕分け方

法人は会社法法人税法に基づいて処理し、個人事業主は所得税法に従って処理するのがおもな違いです。企業規模や管理レベルによっても、求められる処理の精度が変わってきます。

ここでは、以下3つの処理方法を説明します。

・法人の場合
・個人事業主の場合
・管理レベル(仕訳の精度)と社内ルール

事業形態や規模に応じて最適な処理方法を選択しましょう。

法人の場合

廃棄処理費用をどの科目に仕訳するかにより、財務諸表の見え方や部門別コスト管理の精度が大きく変わります。
たとえば、原材料に近い部分で発生する廃棄であれば「売上原価」に含める方法が適切です。外部委託の色合いが強ければ「外注費」でまとめるのがよいでしょう。

決算時に「修繕費」や「雑費」へ振り分けると、経営判断に必要な情報が埋もれてしまうリスクがあります。
どこでコストが発生し、その原因は何かを把握するためにも、担当部門やプロジェクトごとに費用を区別するよう社内ルールを整えることが大切です。

個人事業主の場合

業務範囲と生活費用を分ける「家事按分」など独自の制度があるため、廃棄処理費を扱う際も注意が必要です。
たとえば、自宅兼事務所で発生するゴミの処分費をすべて経費にすると、事業とは直接関係のない支出まで含まれがちです。

こうしたミスを防ぐには、勘定科目ごとに「どの費用が事業に該当するか」を明確に切り分ける作業を徹底しましょう。
また、廃棄物処理を外部委託した場合の領収書や請求書を適切に保管することで、税務調査の際のリスクを最小限に抑えられます。

管理レベル(仕訳の精度)と社内ルール

廃棄処理費用の仕訳は、金額や発生頻度に応じて精度を上げることが求められます。
たとえば、わずかな支出なら「雑費」で処理しても大きな問題はありません。
しかし、廃棄コストが累積で高額になる場合は「売上原価」や「外注費」に分けるほうが管理しやすいでしょう。

社内でルールを作るときは、「どの金額以上をどの科目に振り分けるか」などの基準を明確に設定するのがポイントです。
こうした取り決めがあると、経理担当者ごとの判断のばらつきも防ぎ、決算時の修正作業を減らすことにもつながります。

ケース別仕訳例(業種やシチュエーション別)と関連費用

実際の業務では、業種や状況によって産業廃棄物の種類や処理方法が大きく異なります。
適切な勘定科目を選ぶためには、以下のようなケースごとの仕訳例を理解することが有用です。

・飲食店やオフィスで発生するゴミ
・在庫と商品廃棄時の仕訳
・解体工事時の廃棄処分費
・備品廃棄や粗大ゴミの処分費
・マニフェスト発行手数料
・建設業の産廃運搬費や選別費

各ケースの特徴を理解し、自社の状況に当てはめて活用してください。

飲食店やオフィスで発生するゴミ

飲食店では生ごみ、オフィスでは書類や紙くずなど、日常的に廃棄物が発生する場面は多いものです。
こうしたゴミ処理費は、ほとんどが少額のため「支払手数料」や「雑費」で仕訳される傾向にあります。
衛生管理が重要な飲食店の場合は「衛生費」に振り分けると、何のための支出かがより明確になるでしょう。

ただし、専用の産廃処理業者へ定期的に依頼するようなケースでは、外注費の扱いが適切な場合も。そのため、頻度や金額を確認しながら判断してください。

在庫と商品廃棄時の仕訳

在庫過多や商品が傷んでしまった場合など、販売できない商品を処分する機会も考えられます。
販売を前提に仕入れていた商品を一括廃棄する場合は、基本的に「売上原価」を減らす仕訳を行うか、「廃棄損」や「雑費」で処理するかを選択します。

数量が多く金額が大きい場合は、どのような経緯で廃棄に至ったのかを把握し、原因を突き止めることで在庫管理の改善につなげることも大切です。
廃棄する商品が頻繁に発生するなら、具体的な金額や品目を記録しておくと、あとから税務調査を受けてもスムーズに対応できます。

解体工事時の廃棄処分費

解体工事を行う際に生じる廃材は産業廃棄物として扱われ、回収業者へ委託するのが一般的です。
廃棄物処理の費用をまとめて一括発注しているようであれば「外注費」、工事原価として計上したい場合には「売上原価」に含めることがあります。

たとえば、工事全体を外部業者に委託しているときは、外注費に振り分けるほうが分かりやすいでしょう。社内の施工チームが主体となって解体を行う場合は、かかった処分費を工事の原価として扱うのが妥当といえます。

備品廃棄や粗大ゴミの処分費

オフィスや事務所で使用していたデスクや椅子、古い設備などを廃棄する場合は「備品の除却」という扱いになるケースがあります。
一方、すでに償却が終わった備品や小規模な粗大ゴミは、「支払手数料」や「雑費」として仕訳しても問題ない場合が多いでしょう。

処分費が高額になりそうなときは、外部委託先との契約内容を確かめ、回収費用や運搬費用をほかの費用科目でまとめるかも検討してください。
また、粗大ゴミに該当するかは地域によって扱いが異なるため、自治体のルールに従ったうえで費用を計上することが重要です。

マニフェスト発行手数料

産業廃棄物の処理では、排出事業者が廃棄物の流れを追跡するためにマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行する義務があります。
発行手数料が発生する場合は、通常は「支払手数料」や「外注費」に含めることで仕訳を行うのが一般的です。

マニフェストは処理業者が適切に処理を行った証拠にもなるため、税務調査や監査で確認対象になることがあります。
保管期限を守り、いつ誰がどういった廃棄物を処理したのかを明確にしておくことが、リスク回避につながります。

建設業の産廃運搬費や選別費

建設業では解体工事以外にも、改修工事や新築現場などで大量の廃材が出ることがあります。
それらを運搬したり、現場で選別したりする費用は、「売上原価」や「外注費」に計上するケースが多いでしょう。

たとえば、工事請負の一部として廃棄処分まで含めて外部業者に任せるなら「外注費」を。自社で作業員を動員し、材料の選別や廃材の仕分けを行う場合は「売上原価」の中に組み込みます。
工期が長期にわたる場合は運搬費や選別費を細かく区分し、どのプロジェクトの費用か明確にすると、原価管理や予算立案がより正確になるでしょう。

まとめ:自社に最適な産業廃棄物の勘定科目を選ぼう

産業廃棄物処理費の勘定科目は、6つの中から業種や処理頻度、金額に応じて選択できます。
重要なのは、一度決めた勘定科目を継続して使用し、税務上のリスクを回避することです。適切な処理業者を選ぶことも、コスト削減と法令遵守の両立には欠かせません。

リビスタでは、「建設工事」「製造工場」「農林水産」「商業施設」等さまざまな分野から幅広くご依頼を承っております。

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このコラムの監修者

設楽生人
Narihito Shitara

合同会社LIVISTA代表

弊社では『お客様へ向き合う姿勢』を大事にしております。
廃棄物をただ片付けるという単調な作業だけではなく、
サービス業であるという自覚を持ち、お客様への礼節を重んじ、
親身になって仕事を行うことを信条としており、廃棄物に関わる
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<保有資格>

  • 遺品整理士
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