産業廃棄物管理票(マニフェスト)の報告義務とは?対象者や違反リスクを解説

2025年06月26日

更新日: 2025年10月08日

産業廃棄物を排出する事業者は、「産業廃棄物マニフェスト」(産業廃棄物管理票)を交付するだけでなく、年に一度、所轄自治体への報告義務を負います。
紙マニフェストをたとえ1枚交付していれば、その交付実績を自治体に報告する必要があります。

本記事では、産業廃棄物マニフェストの年次報告対象、提出先、報告内容、違反時の罰則などを詳細に解説します。適正な運用を行って、法令違反リスクを抑えましょう。

産業廃棄物マニフェストとは?制度の目的と仕組み

産業廃棄物管理票(通称マニフェスト)は、廃棄物が排出から処分・再利用までの過程で、適正処理されていることを記録・追跡する制度です。
排出事業者が廃棄物処理業者に処理を委託する際には、マニフェストを交付する義務があります。

この制度の背景には、不適正処理・不法投棄防止という目的があります。マニフェストにより、関係者間で情報の透明性を確保し、処理の全体的な追跡を可能にしています。

参考:東京都環境局|産業廃棄物管理票交付等状況報告書の概要

産業廃棄物マニフェストの年次報告義務とは?


報告対象となる事業者

前年度(4月1日~翌年3月31日)に 紙マニフェスト を1枚でも交付した 排出事業者 が、年次報告を義務付けられます。
交付枚数や排出量に関わらず、交付実績さえあれば報告対象となります。
ただし、すべてのマニフェストを電子マニフェストで処理している事業者は、年次報告義務が 免除 されます。
(電子マニフェスト分は、情報処理センター側で集計・報告されるためです) 

複数の事業場がある場合、各事業場 ごとに報告が必要です。ただし、工事現場など所在地が一定せず、短期間のみ設置された複数事業場1つにまとめて報告することが認められる場合もあります。 

注意点

  • ・提出先は、排出した事業場の所在地を管轄する自治体(都道府県知事 または 政令指定都市長) です。 

  • ・本社所在地ではなく、排出事業場ごとの所在地 で判断されます。

  • ・一部自治体では 電子申請 による報告が可能なケースがあります。


提出期限・提出方法

  • 提出期限:毎年 6月30日まで(休日の場合は直後の開庁日)

  • 提出方法:郵送・窓口への持参、また一部自治体では電子申請が可能 

  • 提出部数:原則 1部 ですが、控えの受領印を希望する場合は 2部 提出する自治体もあります。それぞれの自治体を確認してください。


報告書に記載すべき主要項目

報告書には、おもに5つの項目を記載する必要があります。

・事業場の名称、所在地、電話番号

・業種(日本標準産業分類)
・交付したマニフェストの種類、排出量(単位:トン)、交付枚数

  • ・収集運搬業者(許可番号・名称)

  • ・処分業者(許可番号・名称)

  • ・運搬・処分場所の所在地

  • ・区間を分けて運搬した場合や再委託を行った場合の情報

これらの情報を基に、産業廃棄物の適正処理状況が確認されます。
添付資料やマニフェストの写しは原則不要ですが、記載ミスや不備がないよう、事前に控えを保管しておくと安心です。
報告書の書式は、自治体のサイトで取得できます。

東京都環境局|産業廃棄物管理票交付等状況報告書作成マニュアル(東京都版)

対象事業者

報告義務の対象は、前年4月1日から当年3月31日までの間に「紙マニフェスト」を1枚でも交付した排出事業者です。
交付枚数や産業廃棄物の量にかかわらず、交付実績があればすべて報告対象になります。
電子マニフェストを完全に利用している場合は不要ですが、紙で交付した実績があればその部分については報告が必要です。

報告先は排出事業者の本社所在地ではなく、廃棄物を排出した「事業場」の管轄自治体となります。
事業場が複数ある場合は、それぞれに応じた報告書の提出が必要です。

産業廃棄物マニフェスト不要となるケース・例外

すべての産業廃棄物でマニフェストが必要なわけではありません。以下のケースでは、マニフェストの交付義務が 免除 または 簡略化 されます。

  • 廃棄物の処理を 自治体(一般廃棄物扱い) に委託する場合 → マニフェスト交付は原則不要

  • 古紙やスクラップ等「専ら物」 を特定の業者に委託する場合 → マニフェスト不要とされることがある

  • 再生利用認定業者広域的処理制度の認定業者 に委託する場合 → 通常のマニフェストルートが省略されることもある

ただし、マニフェストが不要な場合でも、廃棄物委託契約書の作成・保管義務 は免除されません。契約内容に不備があれば、別途罰則を問われる可能性があります。

関連記事:マニフェストが不要な場合とは?必要なものや制度の流れも紹介!

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の種類

産業廃棄物マニフェストには「紙マニフェスト」と「電子マニフェスト」の2種類があります。

紙マニフェストの特徴

紙マニフェストは、複写式の伝票で構成されており、A票からE票(または7枚つづり)までの複数の票を関係者間でやり取りする仕組みになっています。
排出事業者は、廃棄物を収集運搬業者に引き渡す際にマニフェストを交付し、処理が完了すると処分業者から返送された票を確認して、適正に処理されたことをチェックします。

ただし、紙マニフェストは物理的な用紙を用いるため、紛失や記入漏れといったヒューマンエラーが発生しやすい点が課題です。また、一定期間(5年間)の保存義務があるため、保管スペースの確保も必要になります。

電子マニフェストのメリット・仕組み

一方電子マニフェストは、インターネットを通じてマニフェスト情報を登録・共有する方式です。紙のやり取りが不要となるため、記入漏れや紛失などの人的ミスを防止しやすく、データの正確性・効率性が大きく向上します。

さらに、電子マニフェストを全件で利用している場合、都道府県などへの年次報告義務が免除されます。これは、情報処理センター(JWNETなど)が自動的にデータを集計・報告しているためで、行政手続きの負担を軽減できる仕組みです。

運用面では、排出事業者が廃棄物を排出してから3日以内にシステムへ登録し、収集運搬業者および処分業者もそれぞれ3日以内に処理状況を入力する流れとなっています。これにより、排出事業者はリアルタイムで処理の進捗状況を確認でき、処理完了時には自動通知で確実に把握できます。

電子マニフェストは、業務の効率化や法令遵守の観点からも導入メリットが大きく、紙マニフェストからの移行を検討する事業者が年々増加しています。

用途別マニフェストの区分

産業廃棄物マニフェストは、用途や対象に応じて 事業系/建設系/積替保管用 の3種類に分類されます。排出場所・処理方法に応じて適切なタイプを選ぶ必要があります。

関連記事:電子マニフェストは義務化されている?その対象とは

産業廃棄物マニフェスト交付の流れ

産業廃棄物マニフェストは、廃棄物を外部の業者に委託する際、排出事業者が交付する義務があります。交付のタイミングは、廃棄物を収集運搬業者に引き渡すときです。

紙マニフェストの場合は、A〜E票を関係業者に分配し、作業完了後には必要票を排出事業者に返送します。排出事業者は返送票と照合し、適正処理が完了したかを確認します。

電子マニフェストでは、排出から3日以内に情報をシステムに登録し、運搬・処分業者もそれぞれ3日以内に処理状況を入力する流れです。
排出事業者は、電子通知で作業完了を把握できます。マニフェストは、紙・電子ともに、適切な管理と保存が求められます。

 

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の報告義務を怠った場合のリスク

マニフェスト制度は、産業廃棄物の適正処理を担保するために設けられた仕組みです。
排出事業者や処理業者には、報告・保存・交付など複数の義務が課されています。

これらの義務に違反した場合、罰則や措置命令が科されることも。
ここでは代表的な違反とリスクを解説します。

・委託基準違反:許可業者でない業者への委託、不適正な契約
・報告義務違反:年次報告書の提出漏れ・遅延
・保存義務違反:マニフェスト票・写しを5年間保存しない
・マニフェストの不交付や虚偽記載:マニフェストを交付せず渡す、また内容を偽る

詳しく見ていきましょう。

委託基準違反

産業廃棄物の処理を外部業者に委託する際は、法令で定められた「委託基準」を遵守しなければなりません。
おもな基準には、「適正な契約の締結」と「業者の許可状況の確認」があります。

基準に反して不適正な委託を行った場合、排出事業者が不法投棄に直接関与していなくても、処理責任を問われることがあります。
違反が発覚すると、都道府県から措置命令を受ける可能性も。

悪質と判断されると、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金といった重い刑罰が科されるおそれがあります。
委託業者選定や契約内容には十分に注意を払いましょう。

参考:東京都環境局|処理を委託する場合

報告義務違反

廃棄物処理法第12条の3第7項によって、毎年6月30日までに前年度分の「マニフェスト交付等状況報告書」を提出する義務があります。
この報告を怠った場合、行政から提出を求める勧告を受けます。

勧告にも応じない場合には、事業者名の公表や命令が行われ、最終的には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性も。
なお、電子マニフェストを全件利用している場合は、年次報告の提出が不要です。

参考:東京都環境局|処理を委託する場合

保存義務違反

排出事業者・運搬業者・処分業者は、それぞれが受け取ったマニフェスト票や写しを5年間保存する義務があります。
交付日や受領日を起算日として保管する必要があり、保存不備や紛失は法令違反とみなされます。

この義務を怠った場合、廃棄物処理法第27条の2第4号により、懲役1年以下または罰金100万円以下の刑事罰の対象となる場合があるので注意が必要です。
マニフェストは再発行が認められていないため、日頃から適切な保管体制を整えておくことが不可欠です。

参考:東京都環境局|処理を委託する場合

マニフェストの不交付や虚偽記載

マニフェストを交付せずに廃棄物を引き渡す、実際と異なる内容を記載する「虚偽記載」を行った場合も、重大な法令違反となります。

不交付・虚偽記載は、排出事業者のみならず運搬・処分業者も対象となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される場合があります。
悪質な場合には措置命令の対象となり、命令違反により重い処分を受けることも。

適正な交付・記載・確認を徹底しましょう。

参考:東京都環境局|処理を委託する場合

まとめ:産業廃棄物管理票(マニフェスト)報告義務を遵守しよう

産業廃棄物の処理において、マニフェストの交付・報告・保存が排出事業者の法的な責任とされています。
これらを怠ると、厳しい罰則や行政処分の対象になるため、日頃からの確実な管理が不可欠です。

合同会社LIVISTA」では、マニフェスト制度に完全対応した産業廃棄物処理サービスを展開しており、幅広い廃棄物に対応しています。

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このコラムの監修者

設楽生人
Narihito Shitara

合同会社LIVISTA代表

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サービス業であるという自覚を持ち、お客様への礼節を重んじ、
親身になって仕事を行うことを信条としており、廃棄物に関わる
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私達リビスタはお客様にとっての『最良』を、ご提案できるようにこれからも努力し続けます。

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