2024年12月25日
更新日: 2025年01月09日
これまで産業廃棄物処理の際に、大規模な不法投棄や不適切な処理、作業員の仕事態度など、数多くの問題がありました。これらの問題を解決するためには「現地確認」を重要視するべきであるといわれるようになってきています。この記事では、現地確認を行う際のポイントや実際に現地確認を義務化されている都道府県を例に挙げて解説していきます。
産業廃棄物の現地確認(実地確認)とは
産業廃棄物の適正処理を確保するため、排出事業者や中間処理業者による「現地確認」の重要性が高まっています。現地確認とは、排出事業者が委託先の産業廃棄物の処理施設を実際に訪問し、法令や契約に基づいた適切な処理が行われているかを確認する取り組みです。
現地確認に関する規定は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の第十二条第七項で「産業廃棄物の収集運搬・処分を委託する際は、当該産業廃棄物の状況を確認し、委託から最終処分が終了するまで一連の工程が正しく実施されるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」と決められています。
現地確認を実施することで、これまで問題になっていた不法投棄や不適切な処理を防げるようになると期待されています。
産業廃棄物の現地確認は義務なのか
産業廃棄物の現地確認は、あくまで努力義務であり義務化されてはいませんが、都道府県によっては義務化されるなど、徐々に現地確認の義務化が進んでいます。
義務化された例
産業廃棄物の現地確認が、愛知県と新潟県では義務化されています。
それぞれの実例を見ていきましょう。
愛知県
愛知県では、平成30年10月に施行された「廃棄物の適正な処理の促進に関する条例の一部を改正する条例」により、毎年1回の現地確認と、記録した情報の5年間保管が義務化されました。
現地確認でチェックする主な確認事項は、以下の通りです。
- ・許可証の許可期限が切れていないか
- ・収集運搬に適した車両を使用しているか
- ・許可証の内容と業務形態が一致しているか
- ・処理方法が最新の許可証に記載されているか
基本的には現地調査が必要となっており、委託契約者の代表者が処理施設を実際に訪問し、廃棄物処理が適正に実施されているかの確認を行います。その際、悪臭や騒音がないか、考えられる問題に対する対策の実施状況なども細かく確認する必要があります。
新潟県
新潟県では、平成17年4月から「新潟県産業廃棄物等の適正な処理の促進に関する条例」とその施行規則によって、現地確認が愛知県と同様に義務化されました。
同条例第八条第一項では「排出事業者・中間処理業者は処分を委託する者が設置している施設の処理状況を確認し、施行規則で定めた事項を記録しなければならない」と定められており、確認・記録を義務付けられていることが分かります。
さらに、施行規則第二条で定められている事項は、以下の通りです。
- ・確認の方法
- ・確認した年月日
- ・確認した者の氏名
- ・委託に係る産業廃棄物の保管場所の状況
- ・委託に係る産業廃棄物の処理施設の処分の状況
これらの事項を記した記録は、排出事業者の事務所などへの備え置きと、確認した日から5年間保存する必要が生じます。
現地確認のポイント
産業廃棄物の現地確認をする際のポイントを6つに分けて解説していきます。
契約書・マニフェスト・帳簿の確認
産業廃棄物処理の適正管理には、契約書・マニフェスト・帳簿の適切な保管が重要です。
契約書は、委託する廃棄物の種類、数量、処理条件などを記載した書類で、電子化も可能ですが紙ベースが主流です。
マニフェストは、廃棄物の流れを追跡し適正処理を確認する伝票を指します。紙と電子の2種類があり、電子化により管理の効率化が可能です。
帳簿には、廃棄物の種類、収集運搬日時、受入量などを記録し、これらの書類を適切に管理することで、法律や契約条件に基づいた適正な処理が行われているかを確認できます。電子化の導入や委託先との協力により、より効率的な管理体制を構築することが可能です。
関連記事:マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは?利用の流れや書き方を解説
許可証と許可看板の内容を照らし合わせる
産業廃棄物処理業者の現地確認時には、事前にダウンロードした許可証の写しを持参し、現場の許可看板と照合することが重要です。
許可看板には、施設の種類、廃棄物の種類と数量、管理者情報、最大保管高さなどが記載されています。これらの情報が許可証と一致しているか確認しましょう。
また、敷地内の清掃状況も重要なチェックポイントです。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が徹底されている事業所は、作業員のモチベーションが高く、責任感を持って業務に取り組んでいる証拠となります。これらの確認により、委託先の信頼性を評価できます。
敷地内の清潔さや危険がないか確認
実際に産業廃棄物の処理が行われている施設を訪問し、敷地内が定期的に整理整頓されているか、そして常に清潔に保たれているかを確認しましょう。
産業廃棄物の処理工場であっても、ゴミが落ちている、壁や床に汚れが目立つなどあってはなりません。特に整理整頓が徹底されていないことが原因となり、事故やトラブルにつながる可能性もあります。そのため、産業廃棄物を適正に処理するためにも、必ず工場内の清潔さを確認しましょう。
作業員の身だしなみ
現地確認の際は、安全管理対策や施設の設備の様子だけでなく、作業員にも着目しましょう。現地で働く作業員の安全意識や、仕事に対する意識、教育水準などは、作業員自身の「身だしなみや態度」に現れるためです。確認の際は、作業員がヘルメットや安全器具を着用し真剣に業務に当たっているかどうかをチェックし、安心して産業廃棄物の処分を委託できる事業所か判断することが大切です。
安全管理ができているか
産業廃棄物処理場では、作業員が集まる場所に掲示板が設置され、安全管理体制や緊急連絡体制の情報が掲示されています。現地確認では、掲示内容が最新で機能しているかをチェックすることが重要です。また、鋭利な金属くずや腐食性廃棄物を扱う作業には危険が伴うため、安全対策が適切に実施されているかも確認しましょう。具体的には、危機管理対策や緊急時のフローチャートの充実度、注意喚起の内容を点検することが求められます。
チェックリストの持参
産業廃棄物処理業者の現地確認は、通常年1回程度しか実施しません。そのため、効率的に多くの項目をチェックすることが重要です。事前に環境省や自治体、業界団体の資料を参考にしたチェックリストを準備しましょう。
現地では、このリストを使いながら業者とコミュニケーションを取り、確認を進めます。また、写真や動画を撮影しておくと、後で状況を振り返るのに役立ちます。これらの準備と実践により、限られた機会で効果的な現地確認が可能になります。
産業廃棄物の現地確認を徹底し、正しい廃棄物処分を
産業廃棄物処理を正しく行わず、不法投棄や不適切な処理をしてしまうと大きな罰則を受けることになり、環境破壊にもつながります。そのため、産業廃棄物処理を依頼する際は、安心できる業者に頼むことが大切です。リビスタでは、低コストでありながらきちんと法律を守り、定められたルールにのっとり処理いたします。まずはお気軽に見積もりの相談をお待ちしております。
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