産業廃棄物の保管基準とは?仮置きの保管表示や事前届出も説明!

2024年12月25日

更新日: 2025年01月23日

産業廃棄物の保管基準や保管方法は、近隣住民の生活環境や周辺の自然環境に支障が出ないようにするために、法律によって細かく定められています。「知らなかった」では済まないため、産業廃棄物に関わる方は、たくさんある基準と保管方法を必ず知っておく必要があります。この記事では、廃棄物処理法に基づく保管基準の詳細や、保管方法、仮置きする場合の対応方法などを分かりやすく解説します。産業廃棄物の保管方法が不安な方はぜひ参考にしてください。

保管基準について

産業廃棄物は、保管次第では有害な存在になることもあります。そのような恐れから住民や周辺の環境を守るために作られた法律があります。 「廃棄物処理法 第12条第2項」では、「事業者は、産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。」と定められています。 産業廃棄物の保管場所は、生活環境に影響を与えないようにするために必要です。この保管場所は、基本的に廃棄物が出た事業場の敷地内に設けられます。廃棄物を正しく保管することは、排出事業者の大切な責任です。廃棄物を出した事業者も同様です。不適切な保管をすると、周囲の環境を汚染する危険があるため、十分な注意が必要となります。

囲いの設置

産業廃棄物を保管する場所には、条件によって囲いの設置が必要な場合があります。 大きさや素材などは決まっていませんが、廃棄物が環境に悪影響を与えないように工夫することが大切です。たとえば、水分を含む汚泥にはコンクリートの囲いを使い、容器に入った廃棄物には縄やロープで囲うなど、廃棄物の種類や量に応じて強度なども配慮し、適切な囲いを選びましょう。もし廃棄物専用の建屋などに保管している場合は、追加の囲いは必要ありません。ただし、異なる種類の廃棄物を保管する場合は、それぞれに囲いを設けることが求められます。

関連記事:汚泥とは?汚泥の定義や産業廃棄物に占める割合、廃棄方法を解説

掲示板の設置

産業廃棄物を保管する場所には、きちんと必要事項が明記されている掲示板を見やすい場所に設置する必要があります。掲示板の規定サイズは縦60cm×横60cm以上と決まっているので、こちらも条件を満たしたものの用意が必要です。 掲示板に記載が必要事項は以下の通りです。

  • ・保管されている産業廃棄物の種類
  • ・産業廃棄物の保管場所が分かる説明
  • ・保管場所の管理者の氏名または名称と連絡先
  • ・最大保管高さ(屋外で容器を使わずに保管する場合)

飛散・流出・地下浸水・悪臭発散の防止

産業廃棄物が保管場所から飛び散ることや、流れ出るなどのトラブルを回避するために対応する必要があります。また、地下浸水や悪臭の発散を防止するための措置も欠かせません。 適切な保管容器の選定や、シートを被せるなど廃棄物の種類や性質に合わせて、それぞれ適切な措置を行いましょう。

汚染水対策

産業廃棄物を保管する際には、汚れた水が外部に流出しないよう汚染水対策の注意が必要です。具体的には以下の通りです。

  • ・底を水が通らない材料で覆う
  • ・水をきれいにする設備を使う
  • ・排水溝や側溝を作って外に流さない
  • ・廃棄物は容器に入れるか、防水シートで覆う

これらの対策を行うことで、環境を守りながら安全に産業廃棄物を保管できます。大切なのは、汚水による環境への悪影響を最小限に抑えることです。

害虫発生予防

産業廃棄物を保管する場所では、衛生管理を徹底し、害虫(ねずみやハエ、蚊など)が発生しないように害虫発生予防対策が必要です。衛生状態が低下すると、害虫が発生しやすくなるためです。 産業廃棄物を保管している場所から近い居住地への影響が及ぶことを防ぐため、産業廃棄物の適切な保管と保管場所の衛生状態の管理を徹底していきましょう。

屋外保管

産業廃棄物を屋外で容器なしで保管する時は、積み上げる高さに注意が必要です。 まず、廃棄物が囲いに触れない場合は、囲いの下から斜めに見て、高さが半分以下になるようにします。これは、廃棄物が崩れたり、風で飛ばされたりしないようにするためです。 次に、廃棄物が囲いに触れる場合は、二つのルールがあります。囲いから2m以内の部分では、囲いの高さより50cm低くします。そして、囲いから2m以上離れた部分では、囲いの下から斜めに見て、高さが半分以下になるようにします。

石綿含有産業廃棄物の保管

石綿含有産業廃棄物を保管する場合は、仕切りを設けるなどして、他の廃棄物と混合しないよう注意しなければなりません。また、廃棄物が飛散しないように覆ったり、梱包したりするなどの措置も必要です。

産業廃棄物の保管方法と注意点

ここでは、産業廃棄物の保管方法と注意点を解説します。

フレキシブルコンテナバッグ

産業廃棄物の保管方法の一つに、フレキシブルコンテナバッグを用いた保管があります。 フレキシブルコンテナバッグとは、原料や製品の輸送・保管などに用いられる柔らかい素材(ポリプロピレン・ポリエチレン)でできた袋のことを指します。 フレキシブルコンテナバッグは、産業廃棄物の保管に使われる柔軟な素材の袋です。ポリプロピレンやポリエチレンでできており、クレーンやフォークリフトで運べる便利な容器です。上部に投入口、下部に排出口があり、多くの種類の産業廃棄物を保管できます。 使用時には3つの注意点があります。まず、使用前に破損や劣化がないか確認しましょう。次に、積み上げ保管時は汚水の滲み出しに注意し、2〜3段程度に抑えます。最後に、尖った廃棄物を入れる際は、パレットの使用や細かく砕くなどの工夫が必要です。 これらの注意点を守ることで、フレキシブルコンテナバッグを安全かつ効果的に使用できます。

ドラム缶

ドラム缶は、汚水や引火性のある産業廃棄物の保管に適しています。 このドラム缶は主に2種類あります。

ドラム缶のタイプ 特徴
オープンドラム缶 固形物や粉末用。耐熱性あり。

腐敗しやすい廃棄物の保存に向いている

クローズドドラム缶 液体用。

腐食性の強い廃棄物には、腐食しないように加工されたドラム缶や影響を受けないプラスチック容器などを使用しましょう。小型の一斗缶やペール缶も便利です。 ドラム缶は、長期使用による劣化に注意が必要であるため、使用前には必ず状態を確認してから使用しましょう。また、低沸点の液体廃棄物は、膨張や爆発の危険があるため、周囲の温度を定期的に確認しましょう。

コンテナ

コンテナは、様々な種類の産業廃棄物を保管できる便利な容器です。 建築現場などでは、車両に着脱できる、バッカンと呼ばれるタイプが人気です。これを使えば、廃材を集めてそのまま処理施設へ運べます。ただし、天井が開いているため、シートで覆う必要があります。他にも、蓋付きのプラスチック製や丈夫な金属製など、用途に合わせて選べる多様なタイプがあります。

関連記事:産業廃棄物の処理で使うバッカンとは?種類や使用・運搬方法を解説

斗缶

廃油などの産業廃棄物を保管する際に、ドラム缶ほどの容量が必要ない場合には一斗缶を使用することが多くあります。ただし、液状廃棄物を保管する場合には腐敗や外傷からの破損等に注意し、フタがしっかりと密閉できているかを確認する必要があります。

産業廃棄物の仮置き場に保管表示は必要?

産業廃棄物を保管する際に、一時的に保管する「仮置き」が必要になる場合もあるでしょう。しかし、法律には「仮置き」という概念はありません。 ただし、排出事業者が排出した産業廃棄物を事業場外で保管する場合、保管表示は必要です。つまりは産業廃棄物を一時的に保管する際も、同様に保管基準を守ることが義務付けられるため、間違えないようにしましょう。

産業廃棄物を仮置きする場合は事前届け出が必要

産業廃棄物の運搬先がすでに決定しており、廃棄物の性質が変わらないうちに搬出できると判断された場合、産業廃棄物の事業場外での保管が認められるケースがあります。 ただし、以下の要件を全て満たす産業廃棄物を仮置きする際には、事前の届出が必要です。

  • ・排出事業者が保管すること
  • ・建設業の産業廃棄物であること
  • ・保管場所の敷地面積が300㎡以上
  • ・排出した事業場外で保管すること

産業廃棄物の仮置きには、法律で定められた厳しいルールがあります。お住まいの都道府県知事に届け出が必要ですが、それをしないまま仮置きすると、最大6ヶ月の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。 ただし、地震や水害などの非常事態で緊急に仮置きを行った場合は、例外的な対応が認められ、この場合では「仮置きした日から14日以内」に届け出れば問題ありません。 しかし、この期間内に届け出を怠ると、20万円以下の過料が適用されるため注意が必要です。知らなかったでは済まされないので、届け出は、定められた期日内に必ず行いましょう。

産業廃棄物は保管基準を守り適切な管理が必要

この記事では、産業廃棄物の保管基準をはじめ、保管方法から一時保管まで解説しました。生活環境の維持や周辺の自然環境を守るため、基準を満たすだけでなく、表示する看板や掲示板の大きさにも気をつけ、きちんと見やすい文字で提示できるように十分な工夫をする必要があります。また、産業廃棄物を保管している間も周辺の確認を行うようにしましょう。 リビスタでは、産業廃棄物の処理や管理を低コストでありながら法律を遵守し、定められたルールのもと、適切・安全に処理・管理いたします。お悩みの際は、ぜひご相談ください。まずはお気軽に見積もりの相談をお待ちしております。

関連記事

このコラムの監修者

設楽生人
Narihito Shitara

合同会社LIVISTA代表

弊社では『お客様へ向き合う姿勢』を大事にしております。
廃棄物をただ片付けるという単調な作業だけではなく、
サービス業であるという自覚を持ち、お客様への礼節を重んじ、
親身になって仕事を行うことを信条としており、廃棄物に関わる
『プロ』として時代のニーズに合わせ、お客様のご不安を取り除き、安心してお任せ頂ける企業を目指しております。
不用品や廃棄物の事でお困りの際は是非弊社へご相談下さい。
私達リビスタはお客様にとっての『最良』を、ご提案できるようにこれからも努力し続けます。

<保有資格>

  • 遺品整理士
  • 産業廃棄物物適正管理者
  • 運行管理者
  • 自動車整備士
  • 石綿作業責任者
お気軽に
お問い合わせください