2024年12月25日
更新日: 2025年01月09日
産業廃棄物の中に、動植物性残さと呼ばれるものがあります。
比較的リサイクルしやすい廃棄物のため、適切に分類して処理することが大切です。
主に食品製造業・香料製造業・医薬品製造業から排出されます。
これらの業種の方は、きちんと動植物性残さの処理方法を知り、有効活用していきましょう。
今回は、動植物性残さの概要やリサイクル方法、リサイクルできない場合の対処法について解説します。
動植物性残さ(動植物性残渣)とは?
動植物性残さとは、産業廃棄物の一種です。
特定の製造過程から排出された、原料として使用された動物や植物の固形状廃棄物のことを指します。
ファミレスや居酒屋などからも動植物性残さは出ますが、事業者から排出されるものなので事業系一般廃棄物に該当します。
あくまでも「製造過程」で出た動植物性残さに限り産業廃棄物とみなされるため注意しましょう。
実際に、動植物性残さの排出量はどのくらいあるのでしょうか。
環境省が2023年に発表した「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」によれば、2021年に排出された動植物性残さは231万7,000トンです。
2020年よりも6万トン減少しており、年々減ってきているのがわかります。
全体の産業廃棄物の中では動植物性残さは全体の0.6%の排出量のため、そこまで多くありません。
関連記事:産業廃棄物とは?種類や法的規制・処理方法など解説!
動植物性残さの定義
産業廃棄物における動植物性残さは、食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で使用される動物性または植物性の固形状態の不要物を指します。
具体的には、以下のようなものです。
- ・動物
- ・魚の皮
- ・貝殻
- ・羽毛
- ・野菜くず
- ・油かす
ここで注意したいのが、動植物性残さであっても必ず産業廃棄物に該当するわけではないということ。
排出する業種や事業内容によっては、一般廃棄物として扱われる場合もあります。
動植物性残さを産業廃棄物として扱わなければならない3つの業種
ここで紹介する食料品製造業、医薬品製造業、香料製造は、動植物性残さを産業廃棄物として扱う必要があります。
それぞれの業種からどのような動植物性残さが出るのか、ここでチェックしていきましょう。
①食品製造業
食品製造業とは、生ものである原料から調理・加工して食品を製造する業者のこと。
パンや菓子、家畜加工品、動物性油脂など、さまざまな食品加工を取り扱います。
②香料製造業
香料製造業とは、天然香料や合成香料または調合香料を製造する業者のこと。
食品用のフレーバーや香水、芳香剤などの香りを製造しています。
③医薬品製造業
医薬品製造業とは、各種の医薬品を製造する事業者のこと。
私たちの生活に欠かせない数多くの薬品を作っています。
動植物性残さの例
動植物性残さといっても、実際にはどのようなものなのかわからない方も多いことでしょう。
ここでは、動物性残さと植物性残さに分けて具体例を挙げていきます。
動物性残さ
動物や肉、骨、内臓、魚の骨、アラ、卵の殻、貝殻、羽毛、乳製品のカス、ホエイ
など
これらは全て腐敗しやすく、長時間放置していると悪臭や害虫発生の原因となります。
一時的に保管する場合は乾燥するなど、適切に行わなければなりません。
保管が難しい場合は処理業者に委託して、処理や管理をお願いしましょう。
なお、動物性残さには豊富な栄養素が含まれているため、家畜の飼料や肥料に再利用されています。
植物性残さ
野菜くず、果実の皮、種子、大豆かす、コーヒーかす、酒かす、ビールかす、ワインかす、油かす、発酵かす、のりかす
植物性残さも腐敗が進みやすいため、早めに処理する必要があります。
豊富なエネルギーが含まれているためバイオマスエネルギーとして再資源化し、電気やガス、燃料に利用することが可能です。
主な再資源化(リサイクル)方法
動植物性残さは、リサイクルしやすい産業廃棄物として知られています。
動植物性残さの65%が再生利用されており、リサイクルできないものは2%です。
産業廃棄物全体の再生利用率は53%であることから、動植物性残さは地球に優しい産業廃棄物といえるでしょう。
では、動植物性残さにはどのようなリサイクル方法があるのでしょうか。
大きく3つの方法があるため、一つずつ解説します。
メタン発酵させる
動植物性残さを微生物に分解させて、メタンを主成分としたバイオガスを発生させる再資源化方法です。
抽出したバイオガスは発熱量が高いため、エネルギーとして活用されます。
実際にバイオガスで発電している施設もあります。
再資源化する際は、水分や塩分などの含有量、成分の安定性・均一性などが重要です。
ただし専用の機械を使用する必要があるため、導入コストに費用がかさむ点はデメリットといえます。
飼料化する
動植物性残さにはタンパク質が豊富に含まれているため、高品質な飼料として再利用も可能です。
飼料化するには、異物の除去や残さの品質維持など、高度な管理が求められます。
難易度は高く手間もかかりますが、産業廃棄物の減少の大きく貢献できます。
また日本は飼料の需要は高いため、飼料自給率が向上するのは良策です。
これらのことから、飼料化は有益性の高いリサイクル方法だといえます。
肥料化する
比較的簡単にリサイクルできる方法として、肥料化があります。
動植物性残さの水分を抜き取り、微生物に分解・発酵させることで肥料に生まれ変わります。
動植物性残さには土を活性化させるリン酸や窒素が含まれているため、良品な肥料になります。
農業をしている方にとっては喜ばれるものなので、リサイクル後は農業仕事に活用してもらうとよいでしょう。
再資源化(リサイクル)出来ない場合の処分方法
リサイクルできない動植物性残さは、2つの方法で最終処分されます。
リサイクルできないから廃棄ではなく、きちんと最後まで処理することが大切です。
焼却する
リサイクルできない場合は、燃やす処理を施します。
焼却を委託する際は、専用の施設があるのか、処理の対象であるか確認することが大切です。
もし対応していない場合は、契約解除になるため、手間を省くためにもあらかじめ聞いておきましょう。
また1日の処理能力が問題ないかも確認しておくと、排出量が多い場合でも安心です。
埋立処分する
最終処分方法の一つに、埋立処分があります。
実施する場合は、管理型最終処分場を利用するのが一般的です。
動植物性残さを含む紙くずや汚泥などを処分する専用の場所で、処理場の中を通過した雨水などが周辺の土壌や地下水に影響を与えないよう対策されているのが特徴です。
周囲への配慮を怠らないためにも、処分場所には気をつけましょう。
動植物性残さの処理にかかる費用
動植物性残さの処理にかかる費用は、1キログラムあたり20〜50円です。
大量に排出する場合は大型の車両を手配することになるため、処理費用とは別に収集運搬費が発生する場合があります。
同じ量や種類でも処分業者によって費用は変動するため、具体的な内容は見積もりをとることをおすすめします。
より詳細な見積もりを作成してもらうためにも、排出内容をわかりやすく伝えることが重要です。
廃棄物のリサイクルは、排出量を減らすことや処理コストの削減に繋がる
動植物性残さはリサイクル率が高い産業廃棄物です。
さまざまなものに最大限再利用できれば排出量を減らせて、処理コストを削減できます。
地球に優しい対応ができるため、罪悪感なく排出できるでしょう。
食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業は、今後の処理方法を見直し、排出量や処理コストの減少に繋がる方法を試してみませんか。
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