汚泥とは?汚泥の定義や産業廃棄物に占める割合、廃棄方法を解説

2024年12月26日

更新日: 2025年01月09日

産業廃棄物として分類される汚泥は、事業活動から生じる泥状の廃棄物の中で、排出量が最大を占める廃棄物です。
処理の方法については、汚泥の特性や構成成分に応じて異なります。
リサイクル可能なものは資源として再利用され、それが難しいものは適切な処理が必要となります。
このページでは、産業廃棄物である汚泥について、基本的な概念や分類から、その適正な処分方法に至るまで、基礎知識をわかりやすく説明します。

汚泥とは

産業廃棄物の汚泥とは、企業や事業所の活動によって生じる泥状の廃棄物を指します。
水中の浮遊物質が沈殿や浮上して泥状になった物質で、一般的にスラッジやヘドロとも呼ばれています。
下水処理場や工場での処理過程、さまざまな製造工程において発生する泥状の廃棄物が該当します。
汚泥は廃棄物処理法で産業廃棄物の一つとして規定されており、法令に基づいた適切な処理が必要です。
とくに重要なのは、汚泥の不適切な処理は法律違反となり、罰金刑や懲役刑の対象となることです。
なお、汚泥のうち重金属を含有するものや強い毒性を持つものは、特別管理産業廃棄物に区分される場合があります。
こうした特別管理産業廃棄物に該当する汚泥は、通常の産業廃棄物以上に厳格な管理と処理が求められます。
産業廃棄物に分類される汚泥には、有機物が混ざった泥状物質に加え、無機物を主成分とするものも該当します。
このことから、処理を行う際は汚泥の性状や特性を正確に把握し、適切な処理方法を選択することが重要になります。

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汚泥の種類

廃棄物処理法で定められた汚泥は、大きく有機性汚泥と無機性汚泥の2種類に分類されます。

有機性汚泥

有機性汚泥は、下水処理施設や食品製造工場、畜産施設などにおいて、有機物を含んだ排水を浄化する過程で生成されます。
主な無機性汚泥の例としては、以下のようなものがあります。

  • ・活性汚泥法による処理後の汚泥
  • ・パルプ廃液から生じる汚泥
  • ・動植物性原料を使用する各種製造業の排水処理後に生じる汚泥
  • ・ビルピット汚泥(し尿を含むものを除く)

有機性汚泥は、その性状と対象排水によって以下の3つに分類することができます。

  • ・生活排水の活性汚泥:下水、し尿からの発生
  • ・食品工場の活性汚泥:食品製造過程での排水からの発生
  • ・有機化学物質の活性汚泥:有機化学プロセスや石油化学プロセスの排水からの発生

有機性汚泥は適切な処理を行うことで再資源化が可能です。
ただし、含まれる成分によって金属原料化やセメント原料化など、処理方法が大きく異なるため、正確な分別が必要不可欠です。

無機性汚泥

無機性汚泥は、おもに建設現場や金属加工工場などから排出される汚泥で、砂分や金属成分が高濃度に含まれる排水の処理工程で発生します。
代表的な無機性汚泥として、次のものが挙げられます。

  • ・赤泥
  • ・けい藻土かす
  • ・炭酸カルシウムかす
  • ・腐白土
  • ・浄水場の沈殿池から生じる汚泥

無機性汚泥は、その性状と対象排水によって以下の5つに分類することができます。

  • ・石炭、石灰、石膏などを含む汚泥:鉱石の洗浄や集積処理による排水から生成
  • ・酸化金属粉末を含む汚泥:鉄鋼製造や集塵装置からの排水により発生
  • ・重金属水酸化物を含む汚泥:酸性排水やメッキ処理からの廃液より生成
  • ・含油凝集汚泥:機械工場での加工や冷延排水から発生
  • ・凝集汚泥:懸濁水処理から発生

無機性汚泥は種類が多岐にわたるため、分類に迷うケースも少なくありません。
このような場合は、各地域の行政機関に相談することで、適切な分類方法を確認することができます。

汚泥の比重

産業活動で発生する汚泥廃棄物は、その性状から重量の測定が難しいという特徴があります。
そのため、汚泥の重量を把握する際には「比重換算」という方法が用いられます。
この方法では、汚泥の換算係数1.1(トン/立方メートル)に体積をかけることで重量を算出します。
たとえば、汚泥1立方メートルの重量は、1.1(トン/立方メートル)×1立方メートル=1.1トンとなります。
この比重換算は、産業廃棄物の処理費用の算出や産業廃棄物税(1トンあたり1,000円)の計算に活用されています。

汚泥の発生するタイミング

産業廃棄物の汚泥は、主に排水処理の過程で発生します。
多くの産業で水が使用されており、その処理過程で常に汚泥が生じています。
とくに特徴的なのは、下水処理で用いられる活性汚泥法における汚泥の発生です。
この方法では、有機物を微生物に分解させて処理を行いますが、その微生物自体が短期間で世代交代を繰り返します。
この世代交代によって生じる余剰汚泥も処理が必要となるため、いわば汚泥処理の過程で新たな汚泥が発生する状況が生まれています。
このように汚泥処理が新たな汚泥を生む循環は、事業者にとって大きな課題となっています。

産業廃棄物に占める汚泥の割合

産業廃棄物の汚泥は、全産業廃棄物の中で最も多い排出量を示しています。
環境省の調査によると、産業廃棄物全体に占める汚泥の割合は44.5%にも上ります。
具体的な排出量は約1億7,069万トンとなっています。
この数字の大きさは、第2位である動物のふん尿の排出割合20.3%と比較するとより明確です。
つまり、産業廃棄物の汚泥は、全体の約半分近くを占める最も処理需要の高い廃棄物といえます。

汚泥の廃棄方法

産業廃棄物に該当する汚泥は、それぞれの特性や構成物質に応じて複数の処理方法が用意されています。
処理方法の基本は脱水処理や焼却処理による減容化ですが、汚泥の種類や性状によっては、堆肥化や再生材料へのリサイクルといった資源化も実施できます。

焼却

産業廃棄物の汚泥は、脱水・乾燥させてから焼却炉で処理を行います。
焼却は汚泥の減量化を実現できる効果的な処理方法です。
近年では、焼却時に発生する廃熱を有効活用する取り組みが進んでおり、発電や温水利用などに活用するケースが増えています。
ただし、焼却処理を行う際は重要な注意点があります。
それは、焼却の過程で燃え殻やばいじんといった二次的な産業廃棄物が発生することです。
そのため、焼却処理を選択する際は、これら二次廃棄物の処理方法についても事前に確認し、適切な処理計画を立てる必要があります。

埋立

産業廃棄物の汚泥のうち、リサイクルや減量化が困難なものは埋立処理を行います。
とくに無機性汚泥は、脱水・乾燥させてから埋立処理することが可能です。
埋立処分場には「安定型処分場」「遮断型処分場」「管理型処分場」の3つのタイプに区分され、汚泥の性状や特性に応じた処分場への搬入が義務付けられています。
ただし、最終処分場は年々逼迫した状況になっています。
そのため、可能な限りリサイクルや減量化が可能な処理方法を優先的に検討することが求められています。

セメントの原料化

産業廃棄物の汚泥は、セメントの原燃料としてリサイクルすることができます。
これは、汚泥がセメントの主原料に使われている粘度や成分と類似した性質を持っているためです。
上下水処理場や発電所など、さまざまな業種から発生する汚泥や焼却灰が、セメント原料の代替材として活用されています。
この処理方法の優れた点は、回収された汚泥や焼却灰の全てをリサイクルに活用できることです。
廃棄物を無駄なく再利用できる環境配慮型の処理方法として注目されています。

溶解

産業廃棄物の汚泥を溶融温度以上に加熱することで処理を行う方法です。
この処理により、汚泥の減容化(体積の減少)と含有成分の抽出・無害化を同時に実現できます。
この過程で発生する溶融スラグは、建設資材などとして再利用することが可能です。

造粒固化

産業廃棄物の汚泥、とくに無機性汚泥を対象とした処理方法です。
薬剤や機械を使用して汚泥を固める処理を行い、建設資材としての再利用を可能にします。
具体的には、建設現場から発生する浚せつ汚泥や燃え殻などの無機汚泥を混合し、固化することで骨材として再利用できます。

堆肥化

堆肥化は、産業廃棄物として分類される汚泥の中でも、有機性の汚泥を資源として活用できる手法の一つとなっています。
食品工場や下水処理場から発生する有機性汚泥を対象とし、まず脱水処理を行います。
その後、人為的に発酵させることで堆肥原料として再利用することができます。
この方法は、有機性汚泥を農業用の有用な資源として活用できる点が特徴です。

油水分離

産業廃棄物として処理される汚泥のなかでも、鉱物潤滑油系の汚泥に適用される処理方法です。
加熱処理や遠心分離を用いて、汚泥を油分と水分に分離します。
この処理の大きな利点は、分離した油分を再生重油としてリサイクルできることです。
これにより、廃棄物の削減と資源の有効活用を同時に実現することができます。

メタン発酵

産業廃棄物の汚泥は、メタン発酵による処理も可能です。
この方法では、微生物の働きによって有機性汚泥を分解し、メタンガスを生成します。
発生したメタンガスは発電に利用することができ、エネルギー資源として有効活用できます。
さらに、メタン発酵後に残った残渣は堆肥原料として再利用することが可能です。
このように、一つの処理工程から複数の有用資源を生み出せる点が特徴です。

産業廃棄物の適切な処理は信頼できる業者選びから始めましょう

産業廃棄物の汚泥は、事業活動に伴って発生する泥状の物質であり、産業廃棄物全体の44.5%を占める最も排出量の多い廃棄物です。
汚泥は有機性と無機性の2つのタイプに分けられ、それぞれの性質に応じた適切な処理が必要です。
処理方法は、焼却や埋立による従来型の処分から、セメント原料化や堆肥化などのリサイクル手法まで、さまざまな選択肢があります。
とくに近年は、環境負荷の低減や資源の有効活用の観点から、メタン発酵による発電や堆肥化など、リサイクルを重視した処理方法が注目されています。
産業廃棄物の適切な処理は、企業の社会的責任として重要性を増しています。
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