産業廃棄物の廃プラスチック類とは?処分やリサイクル方法まで解説

2025年06月26日

更新日: 2025年06月27日

環境規制の強化や処分費用の高騰により、廃プラスチックの適正処理はますます重要な課題となっています。
分類を誤り不適切な処理をしてしまうと、法令違反による罰則や企業イメージの低下など、深刻なリスクにつながりかねません。

本記事では、廃プラスチック類の定義や分類から各種リサイクル方法、法規制への対応、実務的な分別・保管のポイントまで解説します。
廃プラスチックの処理にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

産業廃棄物の廃プラスチック類とは?定義と分類

廃プラスチック類とは、事業活動に伴って生じる使用済みのプラスチック製品や製造工程で発生するプラスチックくずのことです。
しかし、同じプラスチックごみでも、排出元や性質によって産業廃棄物と一般廃棄物に分類され、処理方法も大きく異なります。

ここでは、以下2つを解説します。

・産業廃棄物と一般廃棄物の違い
・廃プラスチックとプラスチックの違い

これらの基本的な分類を正しく理解することで、適切な処理方法を選択し、法令違反のリスクを回避できます。

産業廃棄物と一般廃棄物の違い

産業廃棄物は、工場や事業所などの事業活動によって排出されるごみを指します。その性質や排出量から、法的に定められた処理基準に従わなければなりません。
事業所から排出される廃棄物でも、紙くずや木くず・繊維くず・動植物性残さなどは、業種によって分類が異なります。
これらは建設業や製造業、飲食店などの特定業種から排出された場合のみ産業廃棄物となり、それ以外の業種では事業系一般廃棄物として扱われます。

ただし、廃プラスチック類は業種を問わず産業廃棄物に分類されるため、飲食店や小規模店舗から排出されても産業廃棄物として処理が必要です。

廃プラスチックとプラスチックの違い

「プラスチック」とは、石油などを原料として作られる合成樹脂を指し、包装材や容器、家電製品など幅広い用途に使われています。一方、「廃プラスチック」とは、使用済みとなり不要になったプラスチック製品や部品を指す呼び方です。

また、廃プラスチックの中でも、家庭から出るものは一般廃棄物、事業活動から大量に出るものは産業廃棄物に区分されることがあるため、排出場所や種類によって分類が変わる点に注意が必要です。

廃プラスチックを正しく処理する重要性

世界的な環境意識の高まりとともに、廃プラスチック問題への社会の目は厳しくなっており、企業には今まで以上に責任ある対応が求められています。

ここでは、以下2つの視点から重要性をお伝えします。

・廃プラスチックがもたらす社会的課題
・企業や排出事業者が抱えるリスク

詳しく見ていきましょう。

廃プラスチックがもたらす社会的課題

社会的課題としてもっとも深刻なのが、環境汚染の問題です。
海洋に流出したプラスチックは生態系に悪影響を与え、海洋生物が誤って摂取することで生態系全体のバランスを崩す原因にもなります。

また、焼却処分では二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスを排出するため、地球温暖化の加速につながるおそれも。
企業は廃プラスチックを適切かつ効率的にリサイクルする仕組みを整え、環境保全や持続可能な社会の実現に貢献しなければいけません。

企業や排出事業者が抱えるリスク

企業が廃プラスチックの処理を誤ると、法令違反による行政処分や社会的信用の失墜といった大きなリスクを招く可能性があります。
とくに産業廃棄物としての廃プラスチックには、適正処理が厳しく求められます。
そのため、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の管理や処理委託先の選定を怠ると、トラブルに発展しやすいです。

また、コスト面でも不適切な処理や分別不徹底によって無駄な費用がかかり、企業経営に悪影響を及ぼすことも。
こうしたリスクを回避するためにも、廃プラスチックの正しい分類・分別や信頼できる処理業者との連携を徹底しなければいけません。

廃プラスチックに関する法規制

廃プラスチックの処理に関わる法規制は、国際的な環境保護の流れを受けて年々強化されています。

ここでは、以下2つの重要な法規制について解説します。

・バーゼル法による輸出規制
・プラスチック資源循環促進法(プラ新法)

これらの法規制を正しく理解し、適切に対応することが、持続可能な事業活動の基盤となります。

バーゼル法による輸出規制

バーゼル法は、正式名称を「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」といい、海外へ廃棄物を輸出する際の基準を定めています。
大量のプラスチックごみを海外へ輸出する場合、受け入れ国側の承認や書類手続きが必須となり、適切なリサイクルルートの確保が求められます。

また、近年はプラスチックの輸入を制限する国が増え、国内での再資源化の必要性が高まっている点も見逃せません。
もしバーゼル法に違反するかたちで輸出すると、罰則や信用低下だけでなく、環境問題への責任追及にも直面するおそれがあります。

プラスチック資源循環促進法(プラ新法)

プラスチック資源循環促進法は、国内のプラスチックごみの削減やリサイクルを強化するために制定された法律です。
製造業者はプラスチックを使った製品の設計段階で再利用しやすい仕組みを取り入れることが求められ、排出事業者は分別や再資源化への協力が促されます。

もし違反や不適切な処理があった場合、行政からの指導や命令、ひいては社会的信用の低下が懸念されます。そのため、事業者はプラ新法の内容を把握し、適切に対応しましょう。

廃プラスチック類のリサイクル・処分方法

廃プラスチックの処理方法は、環境負荷の低減と資源の有効活用の観点から、適切に選択する必要があります。

ここでは、以下5つの処理方法を紹介します。

・マテリアルリサイクル
・ケミカルリサイクル
・サーマルリサイクル
・埋め立て処分
・有価物としての売却

それぞれの特徴を理解し、最適な処理方法を選択しましょう。

マテリアルリサイクル

使用済みプラスチックを破砕・洗浄などの工程を経て再び樹脂材料として利用する方法です。
最大の特徴は、プラスチック自体の素材価値を可能な限り維持できる点です。
ただし、汚れや異物が混ざるとリサイクル効率が下がり、品質の低下やコスト増につながる場合があります。

そのため、マテリアルリサイクルを行うには適切な分別や洗浄が欠かせません。
企業は排出段階から廃プラスチックを丁寧に仕分けし、再生可能な品質を保つことで、リサイクル費用の削減や資源の有効活用を図れます。

ケミカルリサイクル

廃プラスチックを化学反応によって分解し、再び原材料や化学原料として利用するリサイクル手法です。
種類を問わず幅広く適用できる場合があり、汚れや異物混入などでマテリアルリサイクルが難しい廃プラスチックも処理しやすい点が特徴です。

ただし、化学プラントでの大がかりな設備投資が必要となるため、実施にはコストや技術面でのハードルがあります。
分解や再合成の過程でエネルギーを多く消費するため、環境負荷の低減効果を最大化するには、原料の安定調達と効率的なプロセス設計が不可欠です。

サーマルリサイクル

廃プラスチックを燃料とみなし、焼却時に生じる熱エネルギーを回収・利用する方法です。たとえば、ボイラーや発電設備を組み合わせて廃プラスチックを熱源として活用する事例があげられます。

マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが難しい汚れたプラスチックでも処理可能な点がメリットです。
しかし、二酸化炭素(CO₂)の排出量が増えるなど、温暖化への影響が課題となる場合があります。
そのため、サーマルリサイクルに頼りすぎず、リサイクル可能なプラスチックを回収して残った部分を熱回収に回す仕組みが望ましいとされています。

埋め立て処分

ほかの処理方法が困難な廃プラスチックを土壌に埋設する手法で、古くから行われてきた処分方法です。処分場の残余容量が限られていることから、環境保全の観点でも課題が大きく、できるだけ埋め立てを減らす方向へ移行する動きが進んでいます。

プラスチックは自然分解しにくいため、長期間にわたり土壌に残り続け、生態系への影響が懸念される点も問題です。
埋め立てを選択する際は、最終処分場の許可や法令に基づく管理体制が必要となり、コストも高額になる場合があります。
そのため、排出事業者は埋め立てに頼らずに、リサイクルや熱回収など、ほかの処理方法を優先的に検討すべきです。

有価物としての売却
品質の高い廃プラスチックやリサイクルが容易な種類であれば、有価物として業者に買い取ってもらうことが可能です。
たとえば、透明度が高く異物が少ないペットボトルや、同じ樹脂材料で統一された成形品などは高値で取引されるケースがあります。

一方で、汚れがひどかったり複数の素材が混在していたりすると、再利用のコストが上昇し、買い取り額が下がるか、引き取り自体を断られる場合も。
売却を検討するなら排出時の分別や異物除去を徹底し、リサイクル業者が扱いやすい状態を維持することが重要です。

分別と保管・管理のポイント

適切な分別はリサイクル率の向上とコスト削減につながり、法令に基づいた保管管理は企業のコンプライアンスを守る基盤となります。

ここでは、以下3つのポイントを紹介します。

・分別ルールと保管上の注意点
・マニフェスト(産業廃棄物管理票)
・産業廃棄物処理業者への委託

それぞれ見ていきましょう。

分別ルールと保管上の注意点

廃プラスチックをリサイクルや適正処分に回すには、まず排出現場での分別が重要です。
複数の材質が混在すると再利用の効率が下がり、汚れや異物の有無によっては処理方法が制限される場合があります。
保管時には雨水やほこり、動物の侵入による汚染を防ぐため、フタ付きのコンテナやシートで覆うなどの対策が必要です。

さらに、保管場所に産業廃棄物である旨を表示し、取り扱いに注意を促すことで、関係者の誤処理や安全トラブルを防ぎやすくなります。
こうした基本ルールを徹底すれば、後工程での分別コストや処理業者への依頼料を抑えることにもつながります。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)

マニフェストは、産業廃棄物の排出から最終処分までの流れを明確に記録するための書類です。
排出事業者や収集運搬業者、中間処理・最終処分業者など、すべての段階で交付・管理される仕組みで、不適正処理を防ぐうえで欠かせません。

提出期限や保管期間などの法令で定められたルールに反すると、行政からの指導や罰則を受けるリスクがあります。
電子マニフェストを導入すれば書類の紛失リスクを減らせるだけでなく、進捗状況をリアルタイムで確認できるため、業務効率向上にもつながります。

産業廃棄物処理業者への委託

外部の産業廃棄物処理業者に委託する場合は、相手先が適正な許可を取得しているかを確認することが大切です。
無許可の業者に依頼すると、たとえ排出事業者自身に悪意がなくとも、法令違反とみなされる可能性があります。

契約書の内容や処分費用・処理方法などを確認し、複数社を比較検討することで、コストやサービス面でのミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。
排出事業者は最終処分まで責任があるため、委託後もマニフェストを用いて処理が進んでいるか確認し、トラブルを未然に防ぐ姿勢が求められます。

まとめ:産業廃棄物の廃プラスチック類は適正な処分を

廃プラスチックの適正処理は、法令遵守だけでなく、企業の社会的責任を果たすうえでも重要です。分別の徹底や適切な保管管理、信頼できる処理業者への委託により、環境負荷の低減とコスト削減の両立へとつながります。

合同会社LIVISTAでは、工場などの製造過程で発生する廃プラスチック類をはじめ、さまざまな産業廃棄物の処理に対応。
法令に則った迅速かつ適正な回収・処分を行い、1都6県(東京・埼玉・千葉・神奈川・群馬・栃木・茨城)でサービスを提供しています。

廃棄物の事でお困りの方や、安く廃棄物の処理を行いたいなど、どんな事でも構いませんのでお気軽にご相談下さいませ。

お電話やメールまたは、HPの問い合わせフォームからもお問合せ可能でございます。

産業廃棄物や建築廃材でお困りの方は「合同会社LIVISTA」にお任せください。

産業廃棄物と建設廃材の処理・回収ならリビスタ

LIVISTA

弊社は埼玉県深谷市内にある産業廃棄物収集運搬業者です。弊社では、「安心」「安全」「迅速」をモットーにお客様のニーズに応えるサービスを提供しています。弊社は以下のような特徴があります。

• 1都6県の産業廃棄物収集運搬許可を取得しており、法令順守を徹底しています。
• 24時間365日対応可能な受付体制を整えており、お客様のご都合に合わせて柔軟に対応します。
• 自社所有のトラックや重機を用いて効率的かつ安全な作業を行います。
• 大手中間処理施設にて処理を行うので、安心安全なご依頼が可能です
• お客様から頂いたマニフェスト等の書類は厳重に保管し、迅速かつ正確な報告を行います。

リビスタでは、「建設工事」「製造工場」「農林水産」「商業施設」等さまざまな分野から幅広くご依頼を承っております。

お見積もりは完全無料ですので、廃プラスチックの処理でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

産業廃棄物処理についてはこちら
建設・建築廃材処分についてはこちら

 

産業廃棄物・建築廃材回収の対応エリア

関連記事

このコラムの監修者

設楽生人
Narihito Shitara

合同会社LIVISTA代表

弊社では『お客様へ向き合う姿勢』を大事にしております。
廃棄物をただ片付けるという単調な作業だけではなく、
サービス業であるという自覚を持ち、お客様への礼節を重んじ、
親身になって仕事を行うことを信条としており、廃棄物に関わる
『プロ』として時代のニーズに合わせ、お客様のご不安を取り除き、安心してお任せ頂ける企業を目指しております。
不用品や廃棄物の事でお困りの際は是非弊社へご相談下さい。
私達リビスタはお客様にとっての『最良』を、ご提案できるようにこれからも努力し続けます。

<保有資格>

  • 遺品整理士
  • 産業廃棄物物適正管理者
  • 運行管理者
  • 自動車整備士
  • 石綿作業責任者
お気軽に
お問い合わせください