産業廃棄物の収集・運搬には、法律で定められた知識と適切な管理が不可欠です。
そのため、「産業廃棄物収集運搬試験」の受講を通じて、資格を取得することが求められます。
本記事では、試験の目的や出題内容、資格取得が必要なケースなどを解説します。
廃棄物の適正処理のために、法令違反の回避や現場の安全性向上を目指す方は、参考にしてください。
産業廃棄物収集運搬試験とは
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が主催する産業廃棄物収集運搬試験は、講習と修了試験で構成されています。
ここでは、産業廃棄物収集運搬試験の特徴を詳しく解説します。
1.試験の目的と背景
2.出題範囲と問題形式
3.合格ラインと合格率の目安
それぞれ詳しく見ていきましょう。
試験の目的と背景
産業廃棄物収集運搬試験の目的は、廃棄物処理に関わる事業者が法令を正しく理解し、適正な運搬・処分に関する知識の習得です。
産業廃棄物は種類や処分方法が多岐にわたり、誤った取り扱いが排出事業者や運搬業者の法的責任につながります。
過去には、廃棄物の不法投棄や不十分な処理体制が問題視され、深刻な環境被害を招いたケースもありました。
法令遵守と適正処理を徹底するため、資格試験が導入されています。
出題範囲と問題形式
産業廃棄物収集運搬試験は、講習受講後に行われる修了試験として実施されます。
新規の講習を受けた出題範囲は以下のように、収集運搬業務に必要な法令知識や実務対応が中心です。
・廃棄物処理法概論
・環境・資源循環概論
・業務管理
・安全衛生管理
・収集・運搬
出題数は37問で、うち17問が「廃棄物処理法概論」から出題されます。
なお、問題形式はマークシート式の択一問題(例:試験の出題形式)で、講義中に配布されるテキストや資料から出題されます。
合格ラインと合格率の目安
合格するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・総得点で 70%以上の正解(26問以上)
・「廃棄物処理法概論」(全17問)のうち 70%以上の正解(12問以上)
・そのほかの各科目で 0点の科目がないこと
特定の分野に偏った得点では合格できないので、全体的にバランスよく理解しておくのが重要です。
なお、合格率は公表されていませんが、例年90%以上の受講者が合格しているといわれています。
講習を受けて配布資料で復習しておけば、合格は十分に目指せるでしょう。
産業廃棄物収集運搬講習の概要
産業廃棄物収集運搬講習は、産業廃棄物の収集・運搬業務に必要な法令知識や処理の基本を学ぶための講習です。
ここでは、以下の産業廃棄物収集運搬講習の概要を解説します。
1.受講対象者
2.受講期間
3.申込み方法
4.講習内容
それぞれ見ていきます。
受講対象者
産業廃棄物収集運搬講習の受講対象者は、収集運搬業の許可を取得・更新する事業者や担当者です。
具体的には、次のような方が該当します。
・新たに産業廃棄物収集運搬業の許可を申請したい方
・現在許可を保有しており、更新手続きが必要な方
・収集運搬に関する管理や実務を担う責任者・担当者
・許可取得後に新たに加わった業務従事者
法人・個人を問わず、業務に関与する可能性のある方は受講が推奨されます。
とくに許可申請においては、代表者や役員が修了証の取得が条件となる場合もあるので注意が必要です。
受講期間
産業廃棄物収集運搬講習の受講期間は、新規講習と更新講習で異なります。
新規講習は2日間、更新講習は1日で、講習最後には修了試験を受ける必要があります。
オンライン講習を選択した場合は、視聴可能期間のあいだであれば、自分のペースでの学習が可能です。
ただし、すべての講義を視聴し終えなければ修了とならないため、計画的に受講しましょう。
申込み方法
産業廃棄物収集運搬講習の申込みは、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の公式サイトからオンラインで行います。
申込みから受講までの流れは、以下のとおりです。
・JWセンターの講習ページにアクセス
・申込みフォームに必要事項を入力
・顔写真データをアップロード
・受講料の支払い
・テキストの受け取り
受講形式でテキストの受け取り方法が異なり、オンライン講習の場合は受講決定通知メール後、2週間程度で教材が郵送されます。
一方、対面形式の場合は、講義開始初日に会場でテキストの配布があります。
講習内容
産業廃棄物収集運搬講習では、廃棄物の適正処理に必要な知識を段階的に学びます。
オンライン講習では、以下5科目を順番に視聴する形式で総視聴時間は約12時間です。
科目名 | 視聴時間(目安) |
廃棄物処理法概論 | 約4.5時間 |
環境・資源循環概論 | 約1.5時間 |
業務管理 | 約2時間 |
安全衛生管理 | 約2時間 |
収集・運搬 | 約2時間 |
参照:オンライン形式の講義視聴時間|公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)
なお、対面講習(会場型)の場合は、上記の各科目を指定された会場で講義を受講します。(2025年度講習会プログラムのスケジュール例)
産業廃棄物収集運搬講習の修了証取得までの流れ
産業廃棄物収集運搬講習を受講し、修了証を取得するまでには、以下のステップを踏む必要があります。
項目 | 詳細 |
1.JWセンター公式サイトから講習を申込む | ・申込みフォームに必要事項を入力(受講形式・希望日程)・顔写真データをアップロード |
2.受講料の支払い | ・オンライン決済・コンビニエンスストア支払い・銀行振込 |
3.テキストの受け取り | ・オンライン講習:申込み後、テキストが2週間程度で郵送・ 会場講習:講習初日に会場で配布 |
4.講習の受講(全5科目) | 順番どおりにすべての講義を受講 |
5.修了試験の受験 | ・受講後、修了試験を受ける・一定の正答率を満たすことが必要 |
6.修了証の発行 | 試験に合格して修了証が交付される |
合否結果は、「マイページで合否結果を確認できる日」以降に、マイページへログインして確認しましょう。
合格者には修了証が簡易書留にて発送され、不合格者には試験結果通知が送付されます。
なお、不合格となった場合でも、再試験は最大2回までの受験が可能です。
産業廃棄物収集運搬試験の資格が必要になるケース
以下のようなケースでは、法令遵守の観点からも資格の取得が求められます。
ケース1|建設・解体業で発生する廃材を自社で運ぶ
ケース2|廃棄物処理業として新規に参入する
ケース3|下請けとして運搬業務を請け負う
ケース4|処理委託先の選定・管理を担当する立場にある
それぞれ紹介します。
ケース1|建設・解体業で発生する廃材を自社で運ぶ
たとえば、以下のケースにおいて社内で収集運搬の資格を取得しておくと、スムーズな廃棄物処理が可能です。
・外部の運搬業者に委託せずに自社で完結したい
・複数の現場を同時に管理しており運搬の柔軟性を高めたい
なお、許可を得ずに産業廃棄物を運搬した場合は、廃棄物処理法違反となり、行政処分や罰則の対象となるため注意しましょう。
ケース2|廃棄物処理業として新規に参入する
新たに産業廃棄物収集運搬業として事業を始める場合は、都道府県知事の許可取得に加え、講習の修了による資格取得が必須です。
許可申請時には、講習修了証の提出が求められるため、事前に受講して合格しておく必要があります。
なお、法令に基づく適正処理の知識は、企業の信頼確保や安定した事業運営にもつながるため、参入前に習得すべき重要な要素です。
ケース3|下請けとして運搬業務を請け負う
下請けであっても運搬業務を請け負う以上は、廃棄物処理法に基づく適正な管理責任が発生します。
たとえば、元請け企業との契約条件として資格取得が求められるケースもあり、信頼関係の構築や受注の継続につながります。
法令に違反した場合は、元請けだけでなく下請け業者も行政処分の対象となるため、法的義務として資格の取得が不可欠です。
ケース4|処理委託先の選定・管理を担当する立場にある
委託先に適切な許可があるか、マニフェストの管理が適正かを判断するには、自らも法令や処理工程に関する理解が求められます。
マニフェスト運用の実務も把握しておくと、現場でのチェックがスムーズに行えるでしょう。
不適切な処理があった場合には排出事業者にも責任が及ぶため、講習を受講すればリスク回避にもつながります。
産業廃棄物収集運搬講習を受講する3つの注意点
産業廃棄物収集運搬講習は以下3つの注意点があり、事前把握でスムーズに資格取得まで進められます。
1.早めの申込みがおすすめ
2.受講方法は「会場型」と「オンライン型」
3.修了証は修了試験の合格が条件
それぞれ詳しく解説します。
早めの申込みがおすすめ
講習は全国各地で実施されていますが、定員制のため希望日に受講できないケースもあります。
年度末や繁忙期は申込みが集中しやすく、早期に締切となることも少なくありません。
オンライン講習を選ぶ場合でもテキストの到着に日数を要するため、スケジュールに余裕を持ちましょう。
受講方法は「会場型」と「オンライン型」
産業廃棄物収集運搬講習は、「会場型(対面式)」と「オンライン型」から受講方法を選べます。
会場型は、指定された日時に会場へ出向いて対面で講義を受ける形式です。
開催日時や会場があらかじめ決まっているので、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の公式サイトで確認しましょう。
オンライン講習は利便性が高い一方、視聴期限内に全科目を完了する必要があるため、自己管理が求められます。
自分の学習スタイルや業務状況に合わせて、受講形式の選択をしましょう。
修了証は修了試験の合格が条件
講習の受講だけでは修了証が交付されず、所定の修了試験の合格が必須条件です。
試験では、廃棄物処理法の基礎知識や収集運搬業務に関する内容が問われます。
オンライン講習の場合も、一定期間内に試験を受け、所定の正答率を満たす必要があります。
不合格となった場合には再試験が可能です。
ただし、業務スケジュールに支障をきたさないためにも、1回での資格取得が求められるでしょう。
産業廃棄物収集運搬試験を資格取得する3つのメリット
産業廃棄物の収集・運搬に関する資格の取得が、現場において次のようなメリットが得られます。
1.法令違反リスクを防げる
2.顧客からの信頼につながる
3.現場の安全性が向上する
それぞれ解説します。
法令違反リスクを防げる
産業廃棄物の収集・運搬には、廃棄物処理法などの法令遵守が求められます。
資格取得は、法令違反による行政処分や取引停止を避けるための有効な手段です。
とくに、委託契約書の取り交わしやマニフェスト管理など、日常業務に直結するルールの正しい理解が重要です。
講習を通じて法的な基礎知識を習得すれば、不適正処理や違法運搬といったリスクを未然に防げるでしょう。
顧客からの信頼につながる
収集運搬の資格を有していることは、適正処理に関する知識と意識を持って業務に取り組んでいる証明になります。
取引先や元請け企業には、法令順守の体制が整った事業者への委託がリスク回避につながるため、安定した受注につながるでしょう。
なお、自治体への申請や許可の取得にも有利となるケースがあり、企業の信頼性を高められます。
現場の安全性が向上する
講習を通じて、産業廃棄物を運搬する際の安全衛生管理や事故防止に関する知識を習得できます。
たとえば、以下のような現場でのトラブルや二次被害のリスクの軽減も可能です。
コンテナやシートの適切な使用で木くずや粉じんの飛散防止になる
・液状廃棄物の運搬では密閉容器や車両管理により漏洩防止になる
・従業員や関係者の安全確保につながり、安定した作業環境の維持に役立つでしょう。
まとめ|産業廃棄物収集運搬試験は適正処理を行うえで必須となる
産業廃棄物収集運搬試験は、廃棄物を法令に則って適正に処理するために欠かせない資格です。
受講や試験を通じて必要な知識を習得すれば、法令違反のリスクを避け、現場の安全性向上や顧客からの信頼確保につながります。
廃棄物処理に関わる事業者にとって、責任ある業務遂行のために取得を検討すべきでしょう。
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産業廃棄物と建設廃材の処理・回収ならリビスタ
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