医療廃棄物とは?種類と処理方法、注意点を解説

2024年12月25日

更新日: 2025年01月23日

医療廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分かれ、特に産業廃棄物に該当するものは正しく分別・管理・処理しないと感染症などを引き起こすおそれがあるため、きちんと分別方法や保管方法を覚え、安心できる排出業者に依頼する必要があります。 この記事では、医療廃棄物の種類と適切な処理方法、保管方法や処理の際の注意点を解説します。産業廃棄物の処理をどこに依頼すれば良いか分からないとお悩みの医療関係者の方はぜひ参考にしてください。

医療廃棄物とは

医療廃棄物は、病院や診療所、介護施設、検査所、研究機関などの医療関係機関で医療行為を通じて生じる廃棄物です。在宅医療で発生した廃棄物も医療廃棄物に含まれます。一方、医療機関での事務作業から生じる廃棄物は一般廃棄物となります。 また、医療廃棄物には感染性だけでなく、毒性・引火性・揮発性などの危険性もあります。そのため、取り扱い時には廃棄物処理法の規制や感染性廃棄物処理マニュアルに従い、関係法令を遵守することが必要です。 在宅医療で発生した廃棄物は、基本的に一般廃棄物に分類されますが、調剤薬局が使用済み注射針を回収する場合は産業廃棄物として扱われます。

医療廃棄物の種類

医療廃棄物の種類は、家庭の一般廃棄物、医療関係機関の一般・産業廃棄物の3つに分けられます。以下では、それぞれ分かりやすく解説します。

家庭の一般廃棄物

在宅医療で行う医療処置によって出た注射針やガーゼなどをはじめとする廃棄物は「一般廃棄物」です。訪問看護や訪問医療を受けたときや、患者さんが家庭内で自己注射などの医療処置を自身で行う際に出る廃棄物が対象です。 家庭の一般廃棄物の具体例としては、注射器や注射針、輸液ライン、カテーテル、点滴バッグなどのプラスチックバッグ、ガーゼ、脱脂綿、などが挙げられます。

医療関係機関の一般廃棄物

医療関係機関から出る廃棄物のなかで「廃棄物処理法」で定められた産業廃棄物の中の20種類に該当しない廃棄物が「一般廃棄物」に分類されます。医療関係機関から出やすい一般廃棄物の具体例としては包帯やガーゼ、脱脂綿類、リネン類、紙くず、木くず、使い捨て製品の箱や袋、皮革類、実験動物の死体などが挙げられます。 なお、一般廃棄物として処理できる包帯やガーゼは「血が付着していないもの」に限られるので注意しましょう。血液が付いたものは、産業廃棄物として処理する必要があるため混ぜてはいけません。

医療関係機関の産業廃棄物

産業廃棄物は、事業の中で生じる廃棄物のことを差し、分類される内容も「廃棄物処理法」内に具体的に定めら

れています。 具体例としては、燃え殻や廃油、汚泥、廃油、廃プラスチック類をはじめとする、合計20種類の産業廃棄物が該当しています。 これらの中で、爆発性、毒性、感染性があり、人の健康や生活環境に危険を及ぼす可能性のあるものは「特別管理産業廃棄物」として分類されます。この特別管理産業廃棄物は大変危険であるため、通常の産業廃棄物より厳重な管理が必要です。 医療機関から出る産業廃棄物の例としては、注射針や金属製機械器具、ゴム製器具、手袋、チューブ、レントゲンフィルム、凝固血液、アンプル、ギプス用石膏などがあります。これらの適切な分類と処理は、安全性と法令遵守の観点でとても大切です。

感染性廃棄物と非感染性廃棄物の区分

また医療廃棄物には、産業廃棄物と一般廃棄物の分類の他に「感染性廃棄物」と「非感染性廃棄物」に分類されます。 「感染性廃棄物」とは、病院などから出される医療廃棄物で感染症などを引き起こす恐れのある廃棄物です。治療で使用した血液や体液などが付着した、もしくは可能性があるガーゼや注射針などが該当し、それ以外のものは「非感染性廃棄物」に分類されます。 感染性廃棄物か非感染性廃棄物かをわかりやすく区別するには「形状」「感染症の種類」「排出場所」の3つの大きな項目に基いてあてはめて考えましょう。医療廃棄物の形状が、以下に一つでも該当するものがあれば「感染性廃棄物」に分類されます。

感染性廃棄物に分類される区別方法 内容
廃棄物の形状 血液、血清、血しょう及び体液

臓器や皮膚などの病理廃棄物

病原微生物に関する試験や検査等で用いた器具

血液等が付いたメスやガラスなどの鋭利なもの

感染症の種類 感染症法の一類、二類、三類感染症

新型インフルエンザ等感染症

指定感染症及び新感染症の治療、検査等に使用されたもの

感染症法の四類及び五類感染症の治療、検査等に使用されたもの

排出された場所 集中治療室、検査室、手術室、感染症病床、結核病床等で使用されたものかどうか

上記の3つの項目すべてに該当しなかった医療廃棄物は「非感染性廃棄物」として処理するものとなります。

医療廃棄物の具体例

医療廃棄物の具体例について、産業廃棄物と一般廃棄物のそれぞれの代表的なものは以下の通りです。他にもあるので、廃棄の際には十分に気をつけましょう。

医療廃棄物の分類 代表的なもの
産業廃棄物 血液、注射器、注射針、アンプル、アルコール、血液検査廃液、レントゲン現像廃液、レントゲン定着廃液、レントゲンフィルム、ビニールチューブ、天然ゴムの器具類、金属性機械器具、ギプス用石膏など
一般廃棄物 包帯、ガーゼ、脱脂綿類、木くず、紙くず類、実験動物の死体など

医療廃棄物の処理方法

医療廃棄物は医療行為の際に出た廃棄物であり、そこからの感染症などを防ぐためにも適切な処置が必要となります。以下では、一般廃棄物と医療廃棄物との2つに分けてそれぞれ解説します。

一般廃棄物の処理方法

家庭から出る医療廃棄物は一般廃棄物に分類されるため、お住まいの自治体の規定に沿って処理します。包帯、ガーゼ、紙くず類、木くず、使い捨て製品の箱や袋、脱脂綿、リネン類、実験動物の死体などが該当します。分別方法は各自治体のホームページなどで確認しましょう。

関連記事:木くずとは?植木の剪定枝は産業廃棄物?定義や処理方法について解説

医療廃棄物の処理方法

医療機関から出る一般廃棄物は、家庭向けのごみ収集には出せないので注意が必要です。 通常は、資源物と燃えるごみに分別し、自治体の施設に搬入します。 注射針、アンプル、ギブス用石膏、金属製機械器具、天然ゴム製器具、手袋、チューブ、レントゲンフィルム、レントゲン現像廃液、凝固した血液、アルコールなどが該当します。 また、医療廃棄物は「感染性廃棄物」と「非感染性廃棄物」に分けられるため、きちんと分別して処理しましょう。 感染性廃棄物は種類や性質によって、「赤」「橙」「黄」の3つのマークを添付して処理するとより分かりやすいので実施してみましょう。以下のように分類すると、廃棄ミスが起こりにくくなります。

マーク 分類内容
血液や病理廃棄物などの液体・泥状のもの
血が付着したガーゼやプラスチック類などの固形物
メスや注射針など鋭利なもの

注意点

医療廃棄物を処理する際の注意点を解説します。 まず、医療機関などが産業廃棄物に分類される医療廃棄物の処理を外部委託する際に、排出事業者が「マニフェスト」と呼ばれる管理表を発行、委託先への交付が必要です。その後、委託先からのマニフェスト返送により、廃棄物が適正に処理されたことを確認します。この一連の仕組みは「マニフェスト制度」によって行われることになっています。 この制度は、排出事業者の責任も重要であり、委託先が都道府県知事から適切な許可を得ているかをきちんと確認する必要があります。万が一、委託先が許可のない業者だった場合は、委託先だけでなく排出事業者も罰則の対象となるためです。 近年では紙のマニフェストから電子マニフェストの利用への移行が推奨されています。電子マニフェストにすることで、事務処理の効率化や、廃棄物処理状況の把握速度を大幅に早められるようになりました。

関連記事:電子マニフェストは義務化されている?その対象とは

感染性廃棄物の保管方法

感染性廃棄物は、廃棄物が出てから委託業者に引き取ってもらうまでの期間の保管法について、以下のような細かな規定が定められています。

  • ・ねずみや蚊、ハエなどの害虫の発生を防ぐ
  • ・廃棄物の関係者以外立ち入り禁止の場所で保管する
  • ・廃棄物の周囲には囲いを設け、取扱注意の表示がある場所で保管する
  • ・安全に保管できる設備や措置を用意し、廃棄物の地下浸透や悪臭発散を防ぐ
  • ・感染性と非感染性の廃棄物が混ざらないよう、必要な設備や措置を用意する
  • ・腐敗の恐れがあるする感染性廃棄物を保管する場合は、密閉や冷蔵庫保管などで対処する

医療廃棄物は、安全に正しく処理してくれる業者を選ぼう

今回は医療廃棄物の処理方法を解説しました。医療廃棄物は、医療機関でのごみの分別から、排出事業者に渡すまでの保管方法、その後の処理までそれぞれの工程で正しく行う必要があります。感染性廃棄物か非感染性廃棄物かで扱いが大きく異なるため、正しく判断しましょう。 また、医療関係機関等が廃棄物の処理を委託する場合は、許可を受けた収集運搬業者・処分業者とそれぞれ契約を結ぶ必要があります。産業廃棄物処理を依頼する際は、安心できる業者に頼むことが大切です。 リビスタでは、医療廃棄物の処理を低コストでありながら法律を遵守し、定められたルールにのっとり適切・安全に処理いたします。お悩みの際は、ぜひご相談ください。まずはお気軽に見積もりの相談をお待ちしております。

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このコラムの監修者

設楽生人
Narihito Shitara

合同会社LIVISTA代表

弊社では『お客様へ向き合う姿勢』を大事にしております。
廃棄物をただ片付けるという単調な作業だけではなく、
サービス業であるという自覚を持ち、お客様への礼節を重んじ、
親身になって仕事を行うことを信条としており、廃棄物に関わる
『プロ』として時代のニーズに合わせ、お客様のご不安を取り除き、安心してお任せ頂ける企業を目指しております。
不用品や廃棄物の事でお困りの際は是非弊社へご相談下さい。
私達リビスタはお客様にとっての『最良』を、ご提案できるようにこれからも努力し続けます。

<保有資格>

  • 遺品整理士
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